長門石 曉 (東京大学)
中納 広一郎(大正製薬株式会社)
池野 雄高 (第一三共株式会社)
渡部 勇人 (第一三共株式会社)
25名
概要
本ワークショップでは、全体で新規技術についての情報交換を行った後、事前アンケートの結果から下記の3つのグループに分かれて意見交換を行った。
① 「SPRを中心とした意見交換」
SPR測定にて多くの経験者が感じる、KD値とkoff値の比較、陽性対照物質が無い場合のアッセイ評価、結合レスポンスが小さすぎる場合の信頼性などに関する意見交換が活発になされた。標的に応じて課題となる点は様々で、常に他のアッセイ系の結果と議論することが必要であると感じた。
② 「クロスバリデーションに関する意見交換」
ヒットバリデーションにおけるフローについて意見交換が行われた。第一選択としてどの物理化学測定を用いているかについては、スループット性や堅牢性などが重要視されており、SPRを選択している参加者が多かった。一方で、難標的の場合には、どの物理化学測定を用いているか、どのように判断しているかなどについて情報交換が行われた。
またヒットバリデーション時に、結合が弱い場合や複数の物理化学測定で結果が一致しない場合に関しても意見交換が行われた。こちらは各種物理化学測定の原理に基づく偽陽性/偽陰性の考慮や、ケミストとの連携や複合体構造の取得をヒットバリデーションに組み込むことなどについて意見が上がった。
③ 「標的クラス別、モダリティ別の意見交換」
前半は主に膜タンパク質を標的とした物理化学測定についての 意見交換が行われた。膜タンパク質は調製や機能の担保に苦労することも多く、精製不要のAffinity selection MSを選択するケースや、NanoDISC化して他の物理化学測定を選択するケース、クライオEMを先行させるケースなど、様々な試行錯誤について話題が挙がった。
後半は主にTPDについての話題であった。3者複合体の物理化学測定の重要性については共通で認識されていたものの、プロジェクトの進展にタイムリーに貢献できる物理化学測定を用意することの困難さも同時に共通している様子であった。この点に関しては、Mass photometryやFlow Induced Dispersion Analysis (FIDA)などの比較的新しい技術の有用性についての情報交換もなされた。
全体を通して、「クロスバリデーション」と「モダリティ別」の話題に垣根がなくなってきているように感じたWSであった。難しい標的に対して、また新規モダリティにおいて、どのようにクロスバリデーションをしていくべきかという観点は、今後の物理化学測定について議論する上でも印象的であった。
