ファシリテーター
櫻井 政昭 (東京大学 創薬機構)
坂本 潤一 (大阪大学薬学研究科附属化合物ライブラリー・スクリーニングセンター)
妹尾 千明 (日本医療研究開発機構)
オブザーバー
高宮 万里 (東京大学大学院薬学系研究科附属創薬機構)
笹又 美穂 (スクリーニング学研究会)
参加者
30名(ファシリテーター3名、オブザーバー1名を含む)
内訳:産(企業・スタートアップ含む) 20名、官・学(公的機関・大学など)10名
概要
WS目的
近年の産官学連携の振り返りを通して、未来の理想的な「創薬スクリーニングエコシステム」について議論した。
内容
【イントロダクション】
過去の産官学連携WSの振り返りや事前アンケート結果の説明をし、参加者からは自己紹介を兼ねて参加目的や議論したいことを共有していただいた。
【話題提供】
・田辺三菱製薬 田中 恒平 様:
「3社合同ドラックリポジショニングプログラムJOINUSの紹介」
アカデミアでのDRへの関心や参画企業増加による共有ライブラリ増強・テーマ増加など今後の発展の余地はあるが、アカデミアへのサポート体制(連携によるアッセイ系のブラッシュアップや資金援助など)や産学の目標すり合わせ(化合物構造開示、論文化)が課題となる。
・AMED 山岡 万寿夫 様:
「創薬ブースターにおけるスクリーニングマネジメントの変遷」
創薬コーディネーターによるシーズ評価やコンサルテーションにより創薬実用化を重視してテーマを選抜している。採択課題には、PIへの経費提供やCRO活用費用を提供する。企業導出、スタートアップ設立など成功実績があり、創薬ブースター事業は継続予定である。
・AMED 寺坂 忠嗣 様:
「産学協働スクリーニングコンソーシアム(DISC)について」
創薬ブースター支援テーマに関し大規模企業共同ライブラリを用いたHTSを実施してきた。企業導出も実績としてあるが本年度で終了となる。様々な創薬環境変化から継続判断には至らなかったが、企業への橋渡しとして有効な連携手段ではあった。創薬コンセプトやスクリーニング可能なアッセイ系構築の課題からコンサル時に落ちるものが多く、スクリーニング実施可能なテーマを増やすことが重要と思われた。
・東京大学創薬機構 善光 龍哉 様:
「BINDS支援による企業導出成功事例と課題」
おける創薬研究支援の成果として、アカデミア発創薬標的からのHit to Lead研究の結果見出したリード化合物を海外製薬企業に導出することに成功した。課題としては全体的にはPOC取得にもかかわらず導出活動が遅延しているケースが散見され、導出活動支援の機能が必要である。
【まとめ】
過去2014年~2017年にWSで開催された産官学連携に関する議論の再開ということで、直近約10年間の連携について情報を共有するとともに、課題抽出を実施した。
総合討論では時間に限りがあったため、ライブラリ共有を題材に産官学連携の在り方について議論を深めた。
全体的な課題感としては、
・産学ギャップ(目的、コンセプト検証レベル、アッセイ系構築レベル)
・アカデミア創出化合物の企業導出の難しさ(対象疾患、化合物の仕上がり具合)
・ALL Japanの化合物ライブラリやスクリーニングセンター構想等に対する官の支援体制には5年縛りがあり予算も各年度締めなので、継続性をどう担保するか
・産からの化合物提供に関しては、現場レベルの所感では、化合物を保持するコストも含めて、これまでよりもハードルは下がっているのではないかという意見もあった。
・学(アカデミア)のライブラリ要望に関しては、創薬から論文投稿まで多岐にわたるので、様々なライブラリが必要である。
・連携の枠組みをどう作るか(主導や予算はどこが責任もって実施するのか) などが議論になり、産官学それぞれに改善の余地があると想定される。
以上の課題を解決することを含め、産官学連携による創薬スクリーニングエコシステム構築のための情報共有や議論を今後も継続していくことの必要性があると思われる。
