ファシリテーター
沼澤 香穂里(中外医科学研究所)
内田 実 (一般社団法人スクリーニング学研究会)
生田目 一寿(アステラス製薬株式会社)
見月 俊吾 (塩野義製薬株式会社)
辻 隼人 (第一三共株式会社)
参加者
32名
概要
WS4 実践!ラボオートメーションでは製薬等企業を中心に、アカデミア、公的研究機関など様々な分野から32名の方に参加いただき、製薬企業の方からの情報提供およびアンケート結果をふまえた5つのトピックを中心に細胞アッセイの自動化を議論した。以下、進行概要および頂いた意見の概要を報告する。
① 細胞自動化の事前アンケート結果まとめ共有
② アステラス製薬株式会社・生田目様、第一三共株式会社・辻様からの情報提供
③ グループディスカッション(5グループに分かれて議論)
④ 各グループからの議論内容の発表(以下、概要)
⑤ まとめ
-
トピック1. 細胞アッセイ特有の自動化の課題
細胞アッセイは工程が多く改良ポイントの特定が困難である。播種時のスターラー使用などの技術的コツ、液体の波立ちや気泡といった挙動シミュレーションの難しさ、細胞増殖の均一性確保など、克服すべき課題は多岐にわたる。また、冬期の温度管理不足による細胞剥離や、熟練者の暗黙知を形式知化する困難さなど、自動化の障壁となっている。 -
トピック2. 初心者でも使いやすいシステム設計とサポート体制
トップダウンで導入された装置が現場で使いにくいと評価される事例が存在する。アッセイ変更時のエラー増加に対応するため、メーカーサポートと自力対応の適切なバランスが求められる。また、柔軟性やリスク分散の観点から、適切なシステム構成を選択する。 -
トピック3. コスト対効果の高い自動化の実現方法
エラー率、成功率、稼働率を指標として効果を測定し、最低限のタスクから段階的に自動化を進めることが推奨される。予防的な部品交換によるコスト抑制、属人化の防止、日常メンテナンスとトラブル事例の共有、および夜間を含めた長時間アッセイにおける運用面での工夫が、費用対効果を高める鍵となる。 -
トピック4. メンテナンスや準備の負担を軽減する工夫
プロトコールQCによる全工程の可視化、複数装置の一括管理、チェックリストやTeamsでの情報共有により、運用負担を軽減できる。人の作業をビデオ解析してロボット用モーションへ最適化する手法や、ヘビーユーザー・機器担当者による管理体制、消耗品の安定調達も効果的である。AI活用も検討課題である。 -
トピック5. 職人技をどのように自動化するか
職人技を明確に定義し、パラメータ化・定量化することが第一歩である。適切な装置を選択し、アウトプット比較で妥当性を検証する。「おまじない」的操作は事前評価し、ノウハウはインタビューで抽出・言語化する。AI活用により初期設定の個人差を排除し、標準化を実現することで再現性の高い自動化が可能となる。
細胞アッセイは多工程ゆえの変動要因が多く、自動化の難しさは参加者の共通認識であった。初心者でも扱える環境の整備、運用の工夫、安定した稼働の実現、費用対効果の可視化、AI活用、暗黙知に依存した“職人技”の実装、などへ取り組むことが有効であると考えられる。
これらに取り組むためには、実験自動化に関する基本的な知識を有しておく必要があるため、スクリーニング学研究会のようにオープンな議論ができる場は重要である。今後も細胞アッセイの自動化に関するチュートリアルを開催し、今回の議論内容を更に発展させていきたい。
