ファシリテーター

今村 理世(東京大学大学院薬学系研究科附属創薬機構)
坂本 潤一(大阪大学薬学研究科附属化合物ライブラリー・スクリーニングセンター)
秦 彬斗(Axcelead Drug Discovery Partners 株式会社)

参加者

26名 (ファシリテーター3名を含む) 欠席2名
内訳:製薬企業 13名、バイオベンチャー・CRO・その他企業 6名、
アカデミア・研究開発法人など 7名

概要

募集要項

企業、アカデミア、公的機関などに所属されていて、スクリーニングに興味のある方(スクリーニング実施経験やスクリーニングカスケード構築経験は不問) 

  • スクリーニングカスケードの構築方法や考え方について、広く学びたい方
  • スクリーニングのヒット選抜や化合物の絞り込みカスケードに、疑問や不安を感じている方
  • 目的にあったプロファイルを持つ化合物を取得するための「化合物の絞り込み」にこだわりたい方
  • 魅力あるヒット化合物を選抜するためにどのようなアプローチが有効かについて議論したい方

内容

WSの狙い・目的

本WSでは、議論を通じて自分たちでスクリーニングカスケードを組み立てることにより、研究テーマの方針を踏まえて戦略的にスクリーニングカスケードを立案・構築することの重要性について理解を深めてもらうことを目的とした。本年は、標的分子として疾患に関連する架空の酵素を題材に取り上げ、治療薬となる阻害剤を探索するためのスクリーニングカスケードとして、まずは、ターゲットの背景情報をもとに、スクリーニングで狙うヒット化合物のゴールイメージを話し合い、次いで、1次スクリーニングの評価系と評価する化合物ライブラリーの選択から、ヒット化合物の絞り込み、合成展開に進める化合物群(ケモタイプ)を選抜するところまで、研究リソースの制約も考慮して、議論を進めることにした。

事前準備

昨年作成したチュートリアルを事前に視聴してもらうようにした(参加者の動画視聴状況については未確認)。また、参加者へ事前資料を送付して、当日の議論を進めやすくした。また、研究リソースの制約を意識しやすいように、週単位の時間軸を記載した用紙と各アクティビティの期間を変えた短冊を準備し、各グループの議論が活性化できるよう工夫した。

当日の流れ

事前アンケートの結果をフィードバックした後に、スクリーニングカスケードを構築する架空の研究テーマについての詳細やWSで使用する用語の定義など、事前配布資料に従って説明した。
その後の60分間を、スクリーニングカスケードを構築するための議論の時間とした。参加者は、企業やアカデミアなどの所属、スクリーニング経験などを考慮し、あらかじめ班分けした3班(A, B, C)に分かれて、議論を進めた。最初に各班に、「ヒット化合物のゴールイメージ」として、ヒット化合物の想定プロファィルなどを協議し、方針を決めた上でカスケード構築を進めるようにした。各グループには、ファシリテーターが1名ずつ加わり、カスケード作成時の議論内での質問に対する回答や60分という短い時間内でのカスケード構築のためのタイムキーパーとしての役割を担い、議論が活性化するように、サジェッションしながら、カスケードが時間内に完成するように促した。
次いで、各班で構築したスクリーニングカスケードについて、代表者から5分間で発表、2分間で質疑応答を行った。1次スクリーニングで、既知アロステリック阻害薬をプローブとしたBinding assay 系を適用したC班に対し、A班は高ATP濃度での酵素評価系、B班は、Km値より少し高いATP濃度での酵素評価系でのスクリーニングを実施し、次いで、高濃度と低濃度の基質でプロファイリングし、アロステリック型と基質拮抗型の両方の化合物を狙うなど、様々な視点でカスケードが構築されていた。今回、各班の発表用にホワイトボードを3台用意し、それぞれの発表後も3班のカスケードを貼ったまま比較して見られるようにした。各カスケード間の違いについての議論もできて良かったと思う。発表終了後に、最も理想的だと考えられるスクリーニングカスケードへの投票(1人1票、自班以外に挙手)を行った。その結果、C班 8票、A班 7票、B班 7票とほぼ同等の結果であった。
今回は、スクリーニング経験知の高いメンバーが少ないことから、スクリーニングカスケードの完成が困難な可能性もあると考えられたが、チュートリアルの予習やスクリーニングカスケードの認知度が上がっているためか、3班ともしっかりとしたカスケードを有意義な議論をしながら、完成させることができたのではないかと考えられた。

まとめと感想

今回の特徴としては、週単位の時間軸を記載した用紙と各アクティビティの期間を変えた短冊により、スクリーニングカスケードとしての時間経過や人的リソースの利用についても意識してもらうように、構成した。スクリーニング経験が豊富なメンバーが1名以上含まれる班はある程度スムーズにスクリーニングカスケードの構築を完了する事ができた。これは参加者全体のスクリーニングカスケードに対する理解レベルが上がっている事にも起因しているかもしれない。一方で、経験豊富なメンバーが欠席した班は議論が時間内にまとまらず、後半のフローまでしっかりと議論できなかった。今回のグループワークは参加者の経験が浅い場合はボリュームが多すぎる可能性があると思われ、次回以降同じフォーマットを使う場合は工夫が必要かもしれない(例えば、リード候補までのフローを決める所までをゴールとせず、まずはHTSヒットまでのフローをしっかりと議論させ、時間が余ったグループはConfirmed ヒット、リード候補までのフローに着手してもらう形とするなど)。