発表者
鮫島 知哉 武田薬品工業株式会社
タイトル
非特異的なABPP probe を用いた cysteinome タンパク質に対する汎用的かつ定量的な化合物活性評価法の開発
要旨
近年、製薬業界において、低分子創薬標的の枯渇が問題となっている。約30000のヒトゲノムの中で、低分子承認薬の標的は僅か2%にしか過ぎない。一つの理由は、標的分子の中には、阻害剤の活性を定量的かつハイスループットに評価するアッセイが構築できないものが存在するためである。この問題を解決するため、我々は非特異的チオール反応性蛍光プローブを用いて、可逆および不可逆性阻害薬の活性を定量的に評価する方法を開発した。本法は、阻害剤の結合ポケット内にシステイン残基が存在すれば、あらゆるターゲットに適応可能である。我々は数学的モデルを構築し、本法により化合物の活性を定量的に評価できることを示した。さらに、本理論の妥当性をEGFRを題材に実験的に証明した。本法を用いることで、今まで生化学アッセイが構築できなかった標的分子に対しても定量的化合物評価が可能となり、低分子創薬の標的拡大につながるであろう。