発表者

尾野 晃人 Axcelead Drug Discovery Partners株式会社

タイトル

アノテーションライブラリーを用いたSCD1阻害薬に対する癌細胞の耐性機構の解明

要旨

抗癌剤の創薬研究の成功確率向上には、作用機序の解明と有効な併用薬の情報が重要である。今回我々は、作用機序情報を有する低分子化合物から構成されるアノテーションライブラリーを用いた併用薬スクリーニングと、その結果を基にした遺伝学的手法による検証試験を組み合わせることで、低分子化合物の作用機序解析に有用な手法を確立した。Stearoyl-CoA desaturase 1 (SCD1)阻害薬であるT-3764518は大腸癌細胞株HCT116の増殖を部分的に抑制することから、何らかの耐性機構の存在が示唆されていた。我々はT-3764518の作用機序解析に本手法を適用し、T-3764518との併用薬スクリーニングで得られたヒット化合物の精査試験より、T-3764518により誘導されるオートファジー活性がHCT116細胞株のSCD1阻害剤耐性機構の一つであることを明らかにした。