発表者

西ヶ谷 有輝 農研機構・高度解析センター・生体高分子解析チーム

タイトル

持続的農業に貢献する硝化抑制剤のスクリーニング

要旨

農地には窒素肥料としてアンモニアが大量投与されているが、大部分は地下水などに流出し、経済損失や環境汚染を引き起こす。この原因は土壌にいるアンモニア酸化細菌の硝化作用にあるため、この菌の阻害剤である硝化抑制剤が広く利用されている。しかし、既存薬はどれも効果や安全性に問題があるため新剤が望まれている。  そこで硝化のカギとなるドロキシルアミン酸化還元酵素(HAO)を標的とした薬剤スクリーニングを行った。従来のHAO活性測定法は感度の低い吸光法であったため、新たにテトラゾリウム塩を使用した蛍光測定法を開発した。この系を使い、東大創薬機構ライブラリ21万化合物に対してハイスループットスクリーニング(HTS)を行った。さらに系統的に離れた2菌種に由来するHAO結晶構造の取得、結晶構造を使ったファーマコフォアサーチなどの薬剤改良系、生菌による2次スクリーニング系も同時に構築した。現在HTSヒット化合物のバリデーションを進めている。