演題
HTRF®法によるマラリア原虫・ヒト間タンパク質相互作用を阻害する化合物のスクリーニング系の構築とその応用
演者
大阪大学・微生物病研究所・分子原虫学分野 東岸任弘
要旨
マラリアは世界三大感染症の一つに数えられる熱帯感染症である。これまでに我々はSERA5(Serine Repeat Antigen 5)タンパク質のN−末端領域(P47ドメイン)を改良したSE36マラリアワクチンを開発し、その有効性を報告してきた。一方、P47ドメイン本来の役割については明らかではない。そこで我々は、P47ドメイン本来の役割を明らかにすることを目的として、P47ドメインと直接結合する血清タンパク質を同定した。次にこの結合の意味を明らかにするために、HTRF®法(ホモジニアス時間分解蛍光エネルギー転移測定法)を用いて、この結合を阻害する化合物の同定を試みた。
HTRF®法は洗浄工程がないために操作が簡便で、結果のばらつきが小さいことから大規模なスクリーニングに適している。一方、我々が目的とするタンパク質間相互作用を阻害する化合物のスクリーニングは既存のキットでは対応できないため、新たにアッセイ系を構築する必要があった。今回はシスバイオ社の協力によって構築されたカスタムアッセイ系を用いてスクリーニングを行った。
本セミナーでは、我々が実施した384プレートベースのハイスループットスクリーニング(HTS)のためのアッセイ系の構築と、大阪大学産学連携本部が所有する3種の既存薬ラブラリーからのスクリーニングの結果を紹介する。最後に、同定した化合物のマラリア原虫への影響について概説する。