ファシリテーター

妹尾 千明(中外製薬株式会社)
近藤 滋(武田薬品工業株式会社)
砂村 直洋(第一三共株式会社)
尾野 晃人(Axcelead Drug Discovery Partners株式会社)
 

参加者

19名

概要

本フェノタイプスクリーニングセッションでは、ここ数年「Target deconvolution」や「iPS」「オルガノイド」等のトピックスを設けて議論を行ってきた。今年度は、ファシリテーター側で事前にトピックスを設けず、参加者からの当日の話題提供や事前の参加者アンケート結果をもとに、数グループに分かれてディスカッションを行う形式を採用した。第一部では、3名の参加者から、抱えている課題や議論したい内容を共有していただき、各参加者が興味のあるトピックスに分かれて議論を行った。第二部では、事前アンケート結果から3つのトピックスを抽出し、各参加者が興味のあるトピックスに分かれて議論を行った。第三部では、「フェノタイプスクリーニングの未来を語ろう」と題して、事前に指定した4~7名程度のグループに分かれてフリーディスカッションを実施した。

【話題提供】

3名の参加者から、以下の話題提供、議論項目の提示があった。
これらを基に以下の3つのグループに分かれて議論を行った

話題提供1 
  • 病原微生物や常在菌に対するフェノティピックスクリーニングの設計、標的同定、モデル選定や具体例について議論したい。
  • 菌を殺さないスクリーニング系などのコンセプトがあれば、共有してほしい。
    ⇒ ターゲットとしてヒト以外(細菌または微生物)を対象としたフェノティピックスクリーニング
話題提供2
  • セルペインティングの形態評価における定量性について、どのように工夫しているのか。
  • 計算解析プラットフォームの構築状況を伺いたい(内製化しているのか、それとも外部委託しているのかなど)。
  • セルペインティングだからこそのできる評価などを議論したい。
    ⇒ セルペインティングを含む画像解析手法について議論するグループ
話題提供3
  • クローン病の上皮細胞のオルガノイドによるスクリーニング系を紹介。
  • オルガノイドと細胞株では再現できる細胞集団や環境が異なるため、スクリーニングで取得できる化合物が異なる。
    ⇒ フェノタイプスクリーニングに使用する細胞モデルについて議論するグループ

【総括】

前日にWS6.と共同開催したCell paintingに関するSIGの影響もあってか、本WSにおいてもCell paintingに関する話題が多くあがった。本手法の拡がりを感じる一方で、画像解析特有の難しさや定量化の難しさ、Cell paintingだからこそ達成できることは何か、といった課題も浮き彫りになってきた印象を受けた。フェノタイプスクリーニングの実施頻度は昨年度からおおむね横ばいというアンケート結果であったが、参加者が感じている課題感も、疾患模倣細胞評価系の構築やヒット化合物の標的分子同定、MOA解析など、各分野における技術進歩がある中においても、これまでと同様の重要課題への関心が継続して高い印象を持った。また、ヒト細胞以外(病原微生物等)を用いて取得したヒット化合物のMOA解析としてどのような手法が適切かという課題提言は、本WSにおいてこれまでに見られなかったものであり、参加者が新たな課題を考えるきっかけになったと感じる。
「フェノタイプスクリーニングの未来を語ろう」と題したフリーディスカッションでは、最近の技術進歩や新しい方法論についても深く掘り下げ、多くのインスピレーションを得た。