ファシリテーター

丹羽 雅俊(日産化学株式会社)
須田 三記也(アステラス製薬株式会社)
深野 一(第一三共RDノバーレ株式会社)
恩田 勇一(田辺三菱製薬株式会社)
 

参加者

28名

概要

1. WSの進行と議論内容

(1) 挨拶・アンケート紹介・本日の流れ(15分)
ファシリテーターが事前に考えたWSの進行方法を紹介し、事前アンケートの結果を共有しました。昨年度と比較して、参加者のDEL経験者が増加していることや、各自がDEL技術の課題と考える点について共有し、その後の議論に役立てることを目的としました。前回同様、「偽陽性が多い」との意見がDEL技術の課題として引き続きあがり、議論の中で「DEL技術の活かせるモダリティ」が最も注目されました。

(2) 情報共有(15分)
2023年に開催された「11th International Symposium on DNA-Encoded Chemical Libraries」に参加した方に情報共有をお願いしました。シンポジウムの内容を分析し、海外でのアカデミアと製薬企業のDEL技術へのアプローチの違いなどを紹介いただき、貴重な意見を得ることができました。

(3) 論文紹介(10分)
ファシリテーターがDELに関する3つの文献について紹介しました。
(DELの新規評価系に関する2報、PROTAC創薬へのDEL活用に関する1報)

(4) グループディスカッション1(25分x 2)
グループ構成:各グループ7名の4グループx2ラウンド
事前アンケートの結果を考慮し、ファシリテーターがフォーカスするべき議題を「1. 結合が弱い化合物の拾い方」、「2. 偽陽性の省き方」、「3. ライブラリの純度に関する考え方」、「4. DELヒット後の評価をどう実施するか」の4つに設定しました。各グループは最初にこれらの中から1つの議題を選び、ディスカッションを行い、その後全体に報告しました。いくつかの上がった意見を以下に示します。

  • 「結合が弱い化合物」に関しては複数の意見があり、結合が弱い化合物は必要ない、結合が弱いことと機能が弱いことは同義ではない、ヒット後の修飾や展開で活性を向上させることができる、といった意見がありました。
  • 「DELヒットからoff-DNA合成する化合物をどう選別すべきか、反応体や副生成物がヒットの可能性もあるが、すべて合成するべきなのだろうか」に対する意見として、ケミストがすべての化合物を合成できるようにすればよい、on-DNAで合成して反応性を確認する、反応バリデーションを徹底することで本命構造以外でのヒットの可能性を排除できる、など複数の意見がありました。
  • DEL技術は単なるHTSの置き換えではなく、異なるスクリーニング手段として捉えるべきであり、複数のスクリーニング手段と組み合わせて活用することで有意義になる可能性がある。

(5) 総括(10分)
DEL合成とoff-DNA体合成の双方において、ケミストの力で解決可能な課題がまだ多く残っていることを再認識しました。

 

2. 次回以降の課題

  • ファシリテーター以外の方がタイムキーパーを担当してくれたおかげで、想定時間通りにスムーズに進行できました。
  • アンケートの段階で所属を明らかにしていただくことで、所属を考慮して、被らないようグループの選定ができる。
  • 2ラウンドで議題が被ってしまう可能性があるため、ラウンド間での議題変更を検討する。