ファシリテーター

妹尾 千明 (中外製薬株式会社)
近藤 滋 (武田薬品工業株式会社)
砂村 直洋 (第一三共株式会社)
尾野 晃人 (Axcelead Drug Discovery Partners株式会社)
 

参加者

31名

概要

今年度は、iPS細胞を含めた疾患表現型アッセイ系構築、iPS細胞を用いたオルガノイド作製技術にフォーカスをおいたディスカッションを行った。6-8名程度の参加者からなるグループで2ラウンドの議論を行ったうえで、最後に各グループから議論内容を発表していただく形式で進めた。各グループともに、企業、アカデミア、研究機関、機器・試薬ベンダーからの参加者がバランスよく含まれるよう構成した。また、グループディスカッション前に最近のトピックスとして、2件のプレゼンテーションセッションを設けた(以下参照)。

1. 議題

プレゼンテーション
(1)東京大学大学院 農学生命科学研究科 高橋 裕 先生
ヒト腸管上皮オルガノイドに関する話題提供

(2)レビティジャパン 塩田 良 様
オルガノイドのイメージング技術

グループディスカッションでは、グループごとにファシリテーターが中心となって話題を設定し、議論を行った。

2. iPS細胞およびオルガノイド活用の現状

前年と比較して、iPS細胞やオルガノイド培養の活用が拡がっている印象を受けた。一方で、それに伴う課題も見出されている。一点目として、多くのグループでコスト面の課題があがった。魅力的なツールであるものの、そのコストから大規模なスクリーニングに活用することが難しい場面も多く、高次評価系としての活用を視野に入れているとの声が多かった。二点目として、細胞培養の安定性・再現性の課題があげられる。適切なマーカー発現による分化状態確認の重要性や、イメージング技術の改良に期待したいとのコメントがあった。イメージング技術については、機械学習も併用した形態観察の高度化、形態の特徴量を早期に非侵襲的に解析することによる質の担保に期待がよせられていた。細胞培養の安定性・再現性においては、自動培養装置の発展も期待されるところである(装置のチューニングやエラー対応に苦労しているとの声もあがっていた)。三点目として、iPS細胞、オルガノイド培養の病態状態の模倣性に関する議論が多く行われていた。明確な答えは存在しないため、適切なマーカー発現や形態等で担保をとったうえで研究を進めるしかないだろうというのが現状である。

3. 総括

iPS細胞、オルガノイド培養の活用が拡がっている印象を受けた。性状解析にドライ技術を活用する動きも出てきているようで、さらなる創薬応用が期待される。特にオルガノイド技術は海外での進展が著しいが、国内企業、研究機関においても知見を適切に共有・集積することで、今後の発展を強く期待させるワークショップであった。