ファシリテーター
丹羽 雅俊(日産化学株式会社)
須田 三記也(アステラス製薬株式会社)
深野 一(第一三共RDノバーレ株式会社)
恩田 勇一(田辺三菱製薬株式会社)
参加者
24名
概要
1. WSの進行と議論内容
(1) アンケート結果の共有(10分)
事前アンケートの結果を紹介しました。参加者のDELの経験値、各人の考えるDEL技術の課題について共有し、その後の議論に役立てることを目的としております。DEL技術の課題としては、「スクリーニングの条件設定が難しい」「偽陽性が多い」という意見が多かったです。
(2) 情報共有(15分)
WS参加者の中で、2022年に開催されたDELの国際シンポジウム(10th International Symposium on DNA-Encoded Chemical Libraries)の内容の総括を紹介いただきました。国際的にDEL技術がどのような方向に進んでいるのか、海外製薬企業ではどのようにDELを使っているか等を参加者と共有しました。結果、その後のグループディスカッションでの議論の呼び水となり、活発な議論につながったと考えています。
(3) グループディスカッション1(40分)
グループ構成:各グループ5~7名の計4グループ、専門性(ケミストorバイオ)ごとに2グループずつで構成
事前アンケートで上がった課題を元に、各グループで議題を設定し、ディスカッションを実施し、その後、議論内容を全体に発表しました。各グループ共通の課題として、①現状のCROの利用では望みのデータを取得することは難しい、②自由に使用できるDELを準備するにも費用がかかる、といったことがあり、AMEDなどでDEL保有し、自由に使える体制を構築できないかという意見もありました。また、その他の注目した意見としては、下記が挙げられます。
- DELという技術を理解し使いこなすには、HTSと同じく、いくつもの検討の積み重ねが必要。
- 偽陽性(off-DNAで活性なし)をどう判断できるか。
- 反応の制限がある中、DELの多様性は十分なのか。
- 1化合物あたりの評価にかかるコストでなく、欲しい化合物を得るためのコストで考えた場合、DELのコストパフォーマンスはどう考えられるのか。構造をフォーカスしたDELの方が、コストパフォーマンスが良いのではないか。
(4) グループディスカッション2(40分)
グループ構成:各グループ6名の計4グループ、専門性を混ぜて構成
グループディスカッション1の内容を元に、専門性を混ぜてさらに議論をするとともに、DELの将来展望やポテンシャルを議論し、その後、議論内容を全体に発表しました。DEL技術への今後の期待としては、細胞系への適応、PROTACへの活用、などが目立ちました。
(5) 総括(10分)
最後にファシリテーター4名で、WSの感想と総括を話しました。まだまだサイエンスとして検討の余地の多い分野であり、各人の意見・印象も多岐にわたっている。一方、海外に比べ出遅れている分野でもあり、国内でもDEL技術を育てていけるようにしていきたい。
2. 次回以降の課題
ディスカッションの時間管理を容易にするために、映写スライドにストップウォッチを掲示するなどの工夫をする。