ファシリテーターから話題提供として、“低分子創薬の将来環境に関して”の概要を紹介し、続いて事前アンケートの結果を参照しながら、WS参加者は、三グループ(各5名)に分かれて以下の4テーマについて順次議論した。

Ⅰ.化合物ライブラリの在り方
Ⅱ.HTSの進め方
Ⅲ.HTSフォローアップ
Ⅳ.HTS戦略

テーマ毎に各グループ議論の要約を発表していただき、WS全体で共有した。いろいろなコメントが出たが、低分子創薬の2020年以降の予測として、現状維持の戦略のみでは厳しい状況に追い込まれる事は必至で、社内外連携の強化が一層求められるという見解で一致した。

Ⅰ.化合物ライブラリの在り方

【議論キーワード】 “化合物ライブラリの共同利用、共同保管の推進”、“共同保管化合物のアカデミア創薬への協力”

【議論コメント】「新たな設備投資、ランニングコストダウンが求められる状況下では共同利用の意義は高い」、「共同保管・利用のデメリットとして、インハウスと較べて創薬スピードは明らかに低下」、「化合物ライブラリは数を集めるという段階からバーチャルなライブラリへ」

Ⅱ.HTSの進め方

【議論キーワード】 “独自路線からの脱却と共同実施”、“フェノティピックHTSの次の手段(ターゲットはどこ?)”

【議論コメント】 「フェノティピックは各社のノウハウがあり、共同実施が難しいが、ファシリティの共同利用は可能かもしれない」、「いろいろな共同実施のやり方があってもよい。例えば、一緒にHTSを実施して、その後は別々に化合物展開するとか、1つのプロジェクトを同時並行でアプロ―チする等々」、「共同実施している例はすでにある。得意分野で分担してはどうか」、「実務的な観点では、化合物の交換よりも、使わなくなった保有アッセイを請け負って実施するという方法が比較的容易ではあり、欧米では先行事例もある。結果、アッセイ自体の権利・ノウハウが後々問題になる事も見えてきた。」

Ⅲ.HTSフォローアップ

【議論キーワード】 “難易度が高いHTSが増え、全ライブラリ対象からセレクトセットで行う上で、どうしたらケモインフォGrの協力を得て、全ライブラリ相当の結果が出せるか?”

【議論コメント】 「セレクトセット、ダイバーシティセットが主流。ケモインフォは初期創薬から後期へ要員シフトしてHTSでは減少」、「ケモインフォはヒット選抜あるいはヒット化合物を得てから注力している」

Ⅳ.HTS戦略

【議論キーワード】 “アカデミア発の新しい魅力的なターゲットや技術が日本で発掘できるか?(DISCの進捗)”、“選び抜いたテーマにじっくり取り組むことでHTSの将来はあるのか?時間との勝負”

【議論コメント】 「アカデミアからのアイデアは出て来るものの、創薬プロセスにおいてアカデミアがどこまで関与するかの役割分担が難しい」、「年間にDISCから提案されるスクリーニングテーマ数の増加を期待」、「企業の疾患領域とアカデミア発のシーズ領域が重ならない事も共同実施する難しさの一つ」