本年は事前アンケートの結果から「膜蛋白、PPIなどの難標的におけるBiophysics活用」、「Biophysics測定手法の選択とスクリーニングフロー」、「その他トピックス」の3グループに分かれてグループ討議を行った。評価担当としてデータを取得する方だけでなく、データを活用しているメドケムの方も交えて討議を行い、本音を交えて今後のBiophysicsの活用について議論する機会となった。

また本年はベンダーへの要望を伝える機会にもなればと考え、ベンダー参加を可能としたものの、残念ながらベンダーからの参加者はいなかった。しかし、NMR用に19F標識したATP誘導体を販売して欲しいなど具体的な要望も挙がっていたようである。

「技術の選択、スクリーニングワークフロー」ではHTS実施後のBiophysicsによるバリデーションを中心に議論が進んだ。スループットに優れること、メドケムにとってKD, kon, koffといったパラメーターが有用であることからSPRが多くの機関で第一選択となるようである。またX線結晶構造やNMRのHSQCによって複合体の構造解析に成功すると俄然メドケムはやる気になるとのことである。構造を見ることは、どれだけ正確なKD値を出す事よりも説得力があるという点は意識しておくべきであると感じた。

「膜蛋白質、PPIなどの難標的」については、NMRやMSTなどの測定手法に対する期待が多く寄せられていた。本WSへの参加者の多くがSPRの使用実績が一番多いことを考えると、普段取り扱っていない測定手法に対する期待が高いことも納得できる。しかしNMRは解析にそれなりのハードルを感じること、またMSTはそもそも機器導入が進んでいないことを大きな理由として、これら測定手法に取り組むことの出来ない方が多いようである。引き続き本WSが複数の測定手法の情報交換の場となるように機会を提供したい。