ファシリテーター

青木 美香 (エーザイ株式会社)
沼澤 香穂里 (株式会社中外医科学研究所)
内田 実 (ジェノスタッフ株式会社)

 

【概要】

今回のWSでは少数での議論を考え参加者5名、ファシリテーター3名、合計8名で意見交換を行った。(2名不参加)初めに名刺交換の時間を設け、その後、参加者、ファシリテーターの自己紹介を行い、本ワークショップの目的を説明した。その後、アンケート結果を簡単に紹介し、今回のWS進行方法を簡単に説明した。まずは実際にオートメーションシステムを導入、稼働させた経験を持つ参加者の皆さんから寄せられたアンケートを基に討議の中心となる5つの項目について意見交換を行った。

次に話題提供としてアステラス製薬 生田目様より最近、立ち上げたオートメーションシステムについて情報提供を頂いた。中規模HTS実施が可能なシステムの構築についてそのポイントについて説明があった。その後、再度、5項目について参加者全員で課題や問題点を共有し、今後、共有した情報を基に更なる解決策を自分たちのラボで検討する事を確認してこのWSを終了とした。

 

以下に意見交換した5項目についてまとめる。

  1. システム構築と機種選定について
    構築や機種選定を行う上で単独の部署で利用可能なのか、あるいは複数の部署で利用するのかで大きく変わる。また、同時に複数のアッセイを実施する事を予定する場合、ハードルは高くなる。

  2. デバイス、各装置が有する問題点について システムを組む際の有効性
    装置を選択する上でコントロールしやすく、トラブルなどの回避がある程度可能な範囲で対応できる装置選択が必要。その選択によりトラブルや故障の際、何が問題のトラブルかある程度把握する事が可能になる。

  3. Driverを含む装置連動について 問題点や意見
    トラブルシューティングの際、Abort, Retry, Ignore、Stopなどエラーが発生した状況により次の対応が変わる。この回避ステップと各装置のDriverは密接に関係するが、エラー回避ではDriverの問題でトラブルが発生する事が多い。その事から複数のメーカーから構成されるシステムの場合、実績のあるDriverやDriver修正がより簡単に行える環境が求められている。

  4. スケジューラーなど“software”に対する問題点や意見
    スケジュール機能にカレンダー機能の要求が多くあり、一つのシステムで複数のアッセイを実施する要望が多くなった。これはシステムが空いている時間を少しでも装置の稼働時間を上げ、効率の高いシステムが求められている。この場合、エラーなどでトラブルが発生すると他のアッセイ開始時間へ影響を及ぼすことからシステムの安定稼働は必須となる。

  5. 各装置から出るエラーやトラブルに対する自己対応、メーカー対応について
    パワーユーザーを中心にある範囲でのエラー対応はユーザーで実施したいと考える。その為にはトレーニングや教育などについてもメーカーの対応が必須である。また、ユーザーサイドもどこまでの範囲でならカバーできるかなど検討する必要もある。

 

【所感】

少人数での開催であった為、オートメーションにおける規模感、経験等のレベル感が異なるものの、自分達のラボの課題や解決策やアイデアなど、参加者の意見交換がしやすく有意義な議論が出来たと思う。また、話題提供としてオートメーションシステム構築中の研究員からシステムウェア選択、システム構築、稼働などの過程について具体的な生の声を聞くことが出来たことは、極めて貴重であり、今後、オートメーションシステム構築をする上で大変参考になる情報であった。最近は1つのシステムで複数のアッセイを実施できるなど、効率の高いシステムの要望が大きくなっている。今回のWSではそのようなシステムを構築するためのヒントがあったと思う。参加者の方々にとって今後の業務に活かせる情報があったと感じて頂けるのであれば幸いである。