司会者(3名)を除き参加者は17名。司会者はテーマごとに固定、17名を三つのグループに分け、①化合物共有、交換、外注(担当:塩野義 平松)、②化合物法規制、DB(担当:小野 長尾)、③超音波分注機と周辺技術(担当:日本たばこ 山本)の三テーマについてのそれぞれ25分間ずつ討議を行い、最後に各テーマについて総括を行った。
化合物共有、交換、外注
アンケート結果から製薬企業が生き残っていく上でモダリティーの多様化が進められる中、低分子化合物の管理は将来的にどうなっていくかの問いに対して、多くの人が外注に進むと回答していた。そこで、低分子化合物の管理の外注についての意向や、課題などについて各メンバーにご意見頂いた。
また、オープンイノベーションの流れから、これまで低分子化合物は創薬の源泉、社内の財産として利用されていたものが、欧米製薬企業を筆頭として、化合物の交換が進められてきた。しかしながら交換に関しては、各社にて移し替えが必要になり、化合物量のロスも多くなるので、第3社にて保管管理を行い、その中から使いあう、化合物共有という形式の方が効率的に利用できる考えが生まれている。この化合物共有についても、各メンバーの意見を頂いた。
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低分子化合物の管理の外注について
各社提案時には,投資効果を必ず問われるが、実際計算した会社ではなかなか社内保管に比べて低額にはならない。規模が大きいところは、あまり投資効果は出ないとの意見あり。外注すると柔軟性の高い依頼ができなく、アッセイ結果に基づく細かな問い合わせができないという不安がある。外注するからには、ある程度依頼パターンを定型化する必要がある。化合物管理部署が子会社化されている会社もあり、柔軟性の高い対応は、生産性の低下につながっているはずなので、そこはFTEに換算して社内でもコストがかかっていることを認識して頂くとよいとの意見を頂いた。
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化合物共有化について
現在も化合物を社外に提供することに抵抗のある考えの会社もある。特許申請不可や構造式非開示の契約下にある場合が多く、利用面での不自由さがあるため、購入した場合と同様の利用価値があるとは言えない。現在Ultra HTSを実施する機会が少なくなってきているので、情報の共有をして利用したいものだけを利用する方が共有の効果が発揮できるとの意見が上がった。
化合物法規制、DB
化合物共有、化合物交換、化合物管理の外部施設の利用を踏まえ、化合物の取り扱い情報(高薬理活性、毒性情報など)の管理方法や構造情報などを管理するシステムの統一化が望ましいと考えられるが、各社がどのような管理を行っているか情報交換をした。
- アンケートからも判明していたが、法規制に関わるような取り扱い情報は各施設適切に管理されているものの、薬理活性や毒性情報に基づいて取り扱いを規定している施設は、かならずしも多くない。一方で、取り扱いのレベルを細かく分けて、管理している施設もある。創薬の初期段階で取り扱う化合物や他社から預かっている化合物については、ほとんどこれらの情報が無いことから、すべて毒物としてみなして取り扱うことで対応しているところもあった。
- ISISのサポート終了に伴い多くの施設は、化合物データベースのシステムを後継機種となるChemRegなどに変更することで対応。ただし、キラル化合物の表示方法が異なることから、購入化合物などは、確認を行い必要に応じて手直しして入庫している施設も見受けられた。また、社内化合物でもあっても、光学活性体だが、立体が不明な場合の構造表示など、立体が不明な光学活性体や異性体表示に苦労しているケースも散見された。多くの施設が、化合物の構造重複を許可していない(同じ構造は同じ化合物番号)ようだが、合併などで重複を余儀なく行ったケースはあるようだ。
アコースティック分注機と周辺技術
アコースティック分注機として広く普及しているEchoの新モデルの情報を共有し、周辺機器や消耗品に対する期待度について意見交換を行った。
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Echo 55xシリーズのサポート期限と新モデル65xシリーズへの更新
Echoのサポート期限は原則10年であるため、導入から10年を超えると速やかに更新することが要求される。現在市販されているEcho新モデル65xシリーズは、プレートからの分注スループットは現行55xシリーズと変わらないが、いくつかのメカ的な改良とサーバソフトの改良がなされており、従来機よりも高価格に設定されている。Echo本体だけでなくインテグレーションシステムも機能を充実させた高価格システムがリリースされている。そのため、サポート期限を過ぎたEchoを更新するには,より高価な新モデル・新システムに更新するというコスト面の懸念があるとの意見が多く出された。溶液サンプルの保管を含めたEcho分注の外部委託を検討すべきとの意見もあった。
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Echo 65xTシリーズで利用可能なアコースティックチューブ
Echo 65xT(末尾にTubeを意味するTが付加されたモデル)は、従来のプレートに加えて96タイプのEcho専用チューブ「AcoustiX Tube」から直接分注できる。このチューブで溶液サンプルを保管すれば、チェリーピックして集めたサンプルをEcho用プレートにトランスファーする工程が省略できるメリットはあるが、Echo 65xT本体のほかに機器(キャッパー/デキャッパー)や自動倉庫(AcoustiX Tube対応倉庫)を合わせて導入する必要があるため、そのような設備投資は困難であるとの意見が多数あった。また、AcoustiX Tubeの容量(ワーキングとして70マイクロリットル)が通常(ナノリットルスケール)の消費量に比べて多すぎるため、Echo以外の用途を考える必要があるとの意見もあった。
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サードパーティ製のアコースティック分注機
Echoよりも廉価なアコースティック分注機「ATS」についての話題提供も準備していたが、研究会直前にATS販売中止との情報が入ったため、ATSに関する意見交換は見送った。