開催趣旨
この度スクリーニング学研究会では「プレートイメージャー」に関するチュートリアルを企画いたしました。ここでのプレートイメージャーは、「CCDカメラなどのイメージング型検出器および分注ヘッドを搭載し、プレート全面への同時分注およびkinetic測定が可能なイメージングプレートリーダー」と定義しています。本機器の特性により細胞内イオン濃度変動や膜電位変動等をリアルタイムで捉えることができるため、GPCRやイオンチャネルを標的とした化合物スクリーニングでは欠かせない装置となっている上、近年では安全性研究分野でも活用されています。
本チュートリアルでは、プレートイメージャーを提供している企業の皆様に講師としてご参加いただき、装置の仕組み、測定原理および適用可能なアプリケーションなどに関する基礎的な内容に加え、応用編として、拡張機能の活用事例や汎用試薬以外を用いた評価系などについても講義をおこなっていきます。また、iPS細胞を用いたin vitro化合物評価におけるプレートイメージャーの活用に関して最新の知見をご紹介いただきます。
後半では、評価系構築や化合物スクリーニングを実施する上でのチェックポイントやトラブルシューティングについて紹介します。事前に参加者の皆様にアンケートを実施し、日頃疑問に思われている内容を募集し、頂いた疑問について解決方法を提供できる場としたいと考えています。
今回はHTSだけではなく、薬理および安全性研究など幅広い分野の方々を対象としております。プレートイメージャーをこれから使用される方、使い慣れているが基礎から改めて学んでみようという方、実際に使用していて実験上の悩み、疑問を持たれている方など多くの方のご参加をお待ちしております。
本チュートリアルを実りあるものにするため、参加登録の際には添付アンケートへの回答をお願いします。
アンケート集計の都合上、7月6日 18時を登録、回答の締切日と致します。(募集は締め切りました)
【重要】登録頂きました氏名・所属は取りまとめ後、参加者リストとしてチュートリアル講師に提供いたします。なお連絡先情報は研究会運営のため研究会事務局にて管理し、事務局からの連絡、スクリーニング学研究会主催・共催のセミナー等の案内に利用致します。事前の承諾なく個人情報を第三者に提供することはありません。
世話人:
内田 実 (ジェノスタッフ株式会社)
岡部 隆義 (東京大学)
笹又 美穂 (アステラス製薬)
和田 玲子 (大正製薬)
テーマ | 「プレートイメージャー」 | ||||||||||||||||
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主催 | スクリーニング学研究会 | ||||||||||||||||
共催 | 東京大学創薬機構 | ||||||||||||||||
日時 | 2021年7月9日(金) 13:30 − 16:15 | ||||||||||||||||
場所 |
Zoom meetingによるオンライン開催 (配信会場 東京大学創薬機構、7月7日に接続linkを連絡予定) |
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プログラム |
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参加費 | チュートリアルの参加費は無料 | ||||||||||||||||
参加資格 |
企業、大学、研究所に所属されている研究者限定といたします。 ※1社で複数の方々から申込みがある場合調整させて頂くことがあります。 |
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定員 | 100名(定員になり次第締め切ります。) | ||||||||||||||||
参加方法& アンケート送付 連絡先 |
氏名、所属、連絡先(E-mail アドレス)を明記の上、事前アンケート用ファイルを添付し、下記までお申込みください。
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応用事例紹介
「ヒトiPS細胞由来細胞(心筋・神経)とFDSS・FLIPRシステムを利用した薬効・毒性スクリーニング」
浜松ホトニクス株式会社 久田 素
様々なヒトiPS細胞由来の分化細胞が容易に入手できるようになり、多電極アレイなどを使用して、代表的な化合物を評価した結果が多数発表されるようになって来ている。その一方、欧米製薬会社では探索の初期に、それらを組み込んで、より早く大量にHTSできるスクリーニング法が試されるようになっている。本チュートリアルでは、探索研究の分野でよく使用されるFDSS・FLIPRシステムを使用した、iPC由来心筋細胞、iPS由来神経の結果を中心にして、細胞の種類による特性の違いや、実験の工夫している点などについてご紹介したい。
心筋分野においては非臨床試験における催不整脈作用の予測は最重要課題の1つであり。近年、薬物誘発性心毒性の予測に有望なツールとしてヒトiPS細胞由来心筋細胞が期待されている。様々な手法やプラットフォームが評価されているが、その中でも、蛍光色素を用いた膜電位測定やCa2+トランジェントの測定は、簡便でコストが低く、ハイスループット測定が可能な有力な手法である。
神経分野においては、中枢系の神経毒性は上市後に報告されるケースが多く予測しにくいと言われている。ヒトiPS細胞由来の神経細胞を使用して、痙攣・てんかんを予測する可能性を製薬協CSAHi神経チームで検討しつつあり、多電極アレイにおいては作用機序を分類できるのではないかと発表されるまでになった。この補完として初期スクリーニングには、FDSS・FLIPRが利用できるのではないかと考え、検討した結果について考察したい。
これらの測定法は、既存のスクリーニング装置を利用して、より早く毒性を評価できる可能性があるばかりなく、様々な疾患特異的iPS細胞を用いた病態解析に利用できると考えられる。