2023/6/5 一般社団法人スクリーニング学研究会
代表理事 笹又 美穂

「細胞の乱れを理解しよう」

開催趣旨

細胞培養は、初心者と熟練者では、結果に差が出てきます。しかしながら、熟練者といえども、安定した結果を出すことは容易ではありません。 安定性・再現性・生産性の実現には、工学的観点と生物学的な観点を理解する必要があります。この度、大阪大学大学院工学研究科の先生方のご協力のもと、本セミナーを実現することができました。

本セミナーは、以下の二部構成で実施します。

  • 第一部 細胞培養に関する講演とパネルディスカッション
  • 第二部 研究室見学

細胞培養において再現性の良いデータを取得したい方、細胞培養でお悩みの方等のご参加をお待ちしております。

申込フォームへ   イベントは終了しました

【重要】本セミナー運営のため、当該セミナー参加者の氏名、所属する団体名、部署名を掲載した参加者名簿を共催・協賛担当者にお渡しすることに同意頂きますようお願い致します。

【重要】登録頂きました連絡先情報は研究会運営のため研究会事務局にて管理し、事務局からの連絡、一般社団法人スクリーニング学研究会主催・共催のセミナー等の案内に利用致します。事前の承諾なく個人情報を第三者に提供することはありません。
 

テーマ 「細胞の乱れを理解しよう」
共催 一般社団法人スクリーニング学研究会
大阪大学大学院工学研究科 ローツェライフサイエンス細胞培養工学共同研究講座
協賛 大阪大学大学院工学研究科 テクノアリーナ 細胞製造コトづくり拠点
日時 2023年6月23日(金) 13:30 − 19:00
場所
大阪大学吹田キャンパス センテラス3階 センテラスサロン
プログラム
13:30-13:35
開会挨拶
一般社団法人 スクリーニング学研究会 笹又美穂
13:35-14:05
培養インキュベータの温度環境が細胞接着挙動に与える影響
大阪大学大学院工学研究科
ローツェライフサイエンス細胞培養工学共同研究講座
招へい准教授 幡多徳彦
14:05-15:05
細胞の気持ちを理解して育む技術を構築する
大阪大学大学院工学研究科生物工学専攻
生物プロセスシステム工学領域 主幹教授
(兼)工学研究科テクノアリーナ細胞製造コトづくり拠点 拠点長
紀ノ岡正博
15:05-15:15 休憩
15:15-15:45 パネルディスカッション
15:45-15:50
閉会挨拶
ローツェライフサイエンス株式会社 山﨑幸登
15:50-17:00
研究室見学
A-Group
B-Group
C-Group
17:00-19:00
懇親会(状況により変更する場合があります)
参加費・懇親会費 無料
参加資格

製薬、食品、化粧品の企業・ 大学・公的機関 において 細胞培養実験に取り組み、培養細胞の品質や再現性をよりよくしたいと考えている研究者限定といたします。

定員 60名(定員になり次第締め切ります。なお、同一企業様からの参加者が複数人の場合は調整をお願いすることがあります。)
参加方法

下記リンク先にアクセスし必要事項を記入の上お申込みください。

申込フォームへ   イベントは終了しました

リンク先にアクセスできない方は、氏名、所属、連絡先(E-mail アドレス)、を明記の上、スクリーニング学研究会事務局にご連絡ください。

スクリーニング学研究会事務局

アクセスマップ

大阪大学公式HP アクセスマップ&キャンパスマップ   
https://www.eng.osaka-u.ac.jp/ja/access/

吹田キャンパスへのアクセスマップ
大阪大学吹田キャンパスへのアクセスマップ

 

吹田キャンパスのキャンパスマップ
大阪大学吹田キャンパスのキャンパスマップ

 


講演1

大阪大学大学院工学研究科
ローツェライフサイエンス細胞培養工学共同研究講座
招へい准教授 幡多徳彦

演題名

培養インキュベータの温度環境が細胞接着挙動に与える影響

要旨

再生医療や創薬の研究分野で行われている細胞培養では、再現性と安定化が必須条件であり、それらの実現に培養操作の機械化は少なからず寄与している。しかし手作業での培養操作条件の全てが最適化されている訳ではなく、機械化を目的とした操作条件の検討が必要である。そこで本研究開発では、培養開始後24時間の培養画像を用いた細胞接着挙動に対する客観的かつ定量的な評価方法を構築し、培養インキュベータの温度環境が細胞接着挙動に与える影響について評価した。

本実験では、モデル細胞として株化された間葉系幹細胞2株(骨髄由来JCRB1136、臍帯血由来JCRB1546)を用い、接着細胞培養90mmDishによる培養を行った。細胞接種の操作条件は、アダプターに設置したDishと細胞懸濁液を接種した培地入りの遠沈管を加温(37℃)、室温、冷蔵の3温度下で保管し、安全キャビネットにて各温度にて保管したDishと細胞懸濁液を用いて細胞接種を行った。接種したDishは搬送装置を用いてインキュベータ(37℃、5%CO2)へと搬送し、培養開始後24時間に細胞観察装置を用いて撮影可能なDishの培養面を撮影し、LabViewを用いた画像処理により撮影した培養画像における接着細胞数を計測した。そして培養インキュベータでの細胞接着挙動について、細胞接種における操作温度および弊社培養装置CellKeeperⅡ120のインキュベータにおけるDish設置位置の影響評価を実施し、細胞接種操作の再現性と安定化について検討を行ったので報告する。

 

略歴
1997年 3月
筑波大学 第二学群生物資源学類 卒業
1999年 3月
筑波大学 大学院農学研究科 修士取得退学
1999年 4月
日東製粉株式会社(現 日東富士製粉) 入社
2004年 3月
大阪大学 大学院基礎工学研究科 修了
2004年 4月
株式会社メディネット 入社
2008年 2月
森下仁丹株式会社 入社
2009年10月
東京電機大学 フロンティア共同研究センター 助教
2012年10月
東京電機大学 理工学部 助教
2013年 4月
東洋製罐グループホールディングス株式会社 入社
2017年 9月
ローツェライフサイエンス株式会社 入社
2018年 4月
大阪大学 大学院工学研究科 招へい准教授
現在に至る

講演2

大阪大学大学院工学研究科生物工学専攻
生物プロセスシステム工学領域 主幹教授
(兼)工学研究科テクノアリーナ細胞製造コトづくり拠点 拠点長 
紀ノ岡正博

演題名

細胞の気持ちを理解して育む技術を構築する

要旨 

日々の幹細胞培養において、いつも通りの培養ができない、データのばらつきが大きい、データに外れ値が存在するなど困ることが多分にあります。これは、培養の乱れに対する理解が進んでおらず、避けがたい事象としてあきらめているためと思います。乱れを引き起こす原因については、工程初期の乱れ(細胞播種密度の揺らぎなど)、培養工程中における乱れ(培養操作由来、培養環境由来、または、細胞自身由来の乱れ)、培養工程終了後の測定由来の乱れ(細胞カウントの誤差など)などが挙げられます。 細胞製造コトづくり拠点では、培養工程においては、細胞の気持ちを理解する活動が欠かせないものであり、細胞分裂、遊走、細胞間接着、細胞基質間接着などの細胞挙動と伴うメカノトランスダクションに着目し、理解促進を行っております。培養工程特性と細胞特性、両者を理解することで、乱れの原因に辿り着き、細胞培養評価手法、培養操作の自動化などオン技術を構築し、細胞調製の安定化を目指しております。本講演については、乱れの事例を紹介し、皆さんと議論できればと思います。

 

略歴
平成1年3月
大阪大学基礎工学部化学工学科 卒業
平成3年5月
大阪大学大学院基礎工学研究科化学系専攻
化学工学分野博士後期課程 退学
平成3年6月
大阪大学基礎工学部 助手 採用
平成8年1月
学位 博士(工学)大阪大学
平成12年2月
大阪大学大学院基礎工学研究科 講師
平成15年4月
大阪大学大学院基礎工学研究科 助教授
平成21年4月
大阪大学大学院工学研究科 教授
令和3年4月
工学研究科テクノアリーナ細胞製造コトづくり拠点 拠点長
現在に至る

この間、平成8年10月10日~平成9年10月9日(1年間)、スイス連邦工科大学(ETH)チューリッヒ校化学工学科にて客員研究員

(受賞歴)
日本生物工学会第26回照井賞(平成15年度,生物化学工学)(2003年9月16日)
「移植を前提としたヒト培養組織生産に関する生物化学工学的研究」
平成17年度化学工学会研究賞(2006年3月29日)
「移植用細胞・組織の培養生産に関するバイオプロセス工学的研究」
日本生物工学会第13回生物工学功績賞(2019年9月16日)
「再生医療に資する細胞製造性に関する研究」

主な研究分野
培養組織生産に対する生物化学工学からの貢献
(生産プロセス、工程・品質管理、培養装置、シミュレーション)