第10回スクリーニング学研究会は終了致しました。
多数のご参加ありがとうございました。

海洋研究開発機構・超先鋭研究開発部門・部門長
高井 研

要旨

地球の深海や地下深部には、一見生命が生育できないと思えるような高温熱水や超深海、強酸性水や強アルカリ性泉といった極限環境が存在する。しかし、我々はそういった環境にも、微生物、しかも生きている微生物細胞、を見つけることができる。「なんだってー!いったいこの生命達はどこからやってきたんだ?!」と思わず、少年マガジンミステリルポタージュ班(少年マガジンで掲載されていた漫画「MMR」)の名台詞を吐いてしまうような驚きではあるものの、我々はフィールド研究を通じて、極限環境に見つかった微生物が本来生育していた場所、生育できないけれど水循環によって運搬されてきたプロセス、そしてそういった微生物が全く存在しない場所、があり、その大局的な時間的・空間的な相互作用によって、生命が存在する場(生命圏)と生命が存在しない場(非生命圏)およびその境界が形成されることを明らかしてきた。地球生命の限界や生命圏の限界、あるいはその境界条件、の現実を明らかにすることは、理論予想だけでなく現実としての生命存在可能性の理解に結びつく。そのような生命が存在できる環境が、約40億年前の生命誕生当時の地球にどれくらい広がっていたのか?我々の太陽系や太陽系外にもどれくらい存在するのか?それを知ることがその先にある我々の目標である。

 

略歴
1992年、京都大学農学部水産学科。1994-1995年、米国ワシントン大学客員研究員、1997年、京都大学大学院農学研究科博士課程修了。1997年日本学術振興会博士特別研究員、1997年科学技術振興振興事業団科学技術特別研究員を経て、1999年海洋科学技術センター(JAMSTEC) 極限環境フロンテイア研究員。2002年JAMSTEC地殻内微生物研究プログラムグループリーダー、2005年同プログラムディレクター。2009年独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)海洋・極限環境生物圏領域深海・地殻内生物圏研究プログラムプログラムディレクター及びプレカンブリアンエコシステムラボユニットリーダー。2012年独立行政法人宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所学際系領域客員教授、独立行政法人東京工業大学地球生命研究所主任研究者兼務。2014年独立行政法人自然科学研究機構新分野創成センター客員教授兼務。2014年独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)深海・地殻内生物圏研究分野、分野長。2019年国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)超先鋭研究開発部門、部門長。

研究分野
超好熱菌の微生物学、極限環境の微生物生態学、深海・地殻内生命圏における地球微生物学を経て、現在は地球における生命の起源・初期進化における地球微生物学および太陽系内地球外生命探査にむけた宇宙生物学

研究受賞歴
2002年、第1回極限環境微生物学会奨励賞
2004年、第1回JAMSTEC分野横断研究アウォード
2006年、第1回JAMSTECシステム地球アウォード
2012年、第8回日本学術振興会賞
2012年、第8回日本学士院学術奨励賞
2012年、Change Maker of the Year 2012研究者部門グランプリ(日経BP)