発表者

田邊 賢司 東京女子医科大学

タイトル

ハイコンテンツアナリシスと機械学習による薬物作用機序の予測

要旨

低分子化合物の多くは複数の標的分子を持っており、予期せぬ副作用や実験結果の誤解釈を招いている。最近我々は、化合物に対する細胞応答を画像解析によって定量評価し、機械学習と組み合わせて標的分子を予測する手法を確立した(Tanabe, Sci. Rep. 2016)。本発表では、既存薬理活性化合物ライブラリーを解析した結果を紹介する。化合物に暴露した肺がん由来A549細胞をEGFで刺激し、主要なシグナル伝達分子を含む8種類の分子の細胞内動態/活性化を経時的に計測した。細胞の画像解析によって得られた700弱の特徴量を用いて機械学習による化合物分類を行った結果、既知の標的分子を共有しない分類が複数認められた。生化学的/細胞生物学的手法によって解析したところ、未知の標的分子が多数同定され、それぞれの分類で共通の標的分子が見出された。以上の結果は、本手法が未知の薬物作用機序を効率的に予測できることを示している。