【WS.1.】AI創薬を学ぶ
【WS.2.】化合物ライブラリーの協創:アカデミアと企業の構造DB連携を考える
【WS.3.】スクリーニングカスケードの設定と戦略
【WS.4.】細胞アッセイの自動化
【WS.5.】ラボオートメーション入門
【WS.6.】Cell paintingから始める画像解析
【WS.7.】創薬の課題を語ろう -フェノタイプスクリーニングの現在と未来-
【WS.8.】HT-ADMET
【WS.9.】物理化学測定は使えるのか?
【WS.10.】膜タンパク質生産~ 今年は膜の話をしよう ~
【WS.11.】アッセイ系構築 基礎
【WS.12.】天然物創薬の未来
AI創薬を学ぶ
Learn about AI drug discovery
ファシリテーター
第一三共株式会社 三井 郁雄
Daiichi Sankyo Co., Ltd. Ikuo Mitsui
慶應大学 片倉 晋一
Keio University, Shinichi Katakura
理化学研究所計算科学研究センター 池田 和由
Center for Computational Science, RIKEN, Kazuyoshi Ikeda
東京大学創薬機構 岡部 隆義
Drug Discovery Initiative, The University of Tokyo, Takayoshi Okabe
対象者
AI創薬について学んでみたいと思っている方。
AI創薬に興味がある方。
現在の業務、所属は問いません。
参加要件アンケートへの回答をお願いいたします。
下記文献に事前に目を通しておくことを強く推奨します。
- A small-molecule TNIK inhibitor targets fibrosis in preclinical and clinical models
- PandaOmics: An AI-Driven Platform for Therapeutic Target and Biomarker Discovery
- AI-powered therapeutic target discovery
- Chemistry42: An AI-Driven Platform for Molecular Design and Optimization
定員40名程度、定員オーバーの場合は基本先着順とし調整いたします。
内容
『AI創薬は、医薬品の研究開発にAI(人工知能)を活用した創薬手法です。データ分析や推論を通じて、開発期間の短縮やコスト削減、研究者の業務負担軽減を実現します。
- データ解析と予測モデル:
AIは大量の医療データ(遺伝子情報、タンパク質構造、疾患のメカニズムなど)を解析し、有望な化合物を特定するための予測モデルを構築します。 これにより、候補薬のスクリーニングや設計が迅速化され、研究者は効率的に有望な化合物を特定できます。 - バーチャルスクリーニング:
AIは既知の化合物データベースをスクリーニングして、新薬候補を特定します。 これにより、実験室での試験を減らし、時間とコストを節約できます。 - 創薬デザイン:
AIは既存の化合物の構造を基に、新しい化合物のデザインをサポートします。 例えば、タンパク質との相互作用を最適化するための新しいリガンドを予測します。 - 副作用予測:
AIは候補薬の副作用を予測し、安全性を評価します。 これにより、臨床試験段階での問題を事前に特定できます。 - 文献マイニング:
AIは科学文献から知識を抽出し、研究者に有用な情報を提供します。 これにより、研究者は最新の知見にアクセスできます。 AI創薬は、これらの方法を組み合わせて、新薬の発見と開発を効率化しています。』
上記はMicrosoft社Copilotを使って生成した「AI創薬」の説明文です。このようにAIは我々の業務にも身近になってきました。本研究会の主題であるスクリーニングにどのようなインパクトがあるかは、これからですが、まずは一緒に「AI創薬」について学んでみたいと思います。本WSではAI創薬で注目を浴びているスタートアップInSilico Medicine社から講師をお招きし、AI創薬の基本的なところから全体像をお話していただきます。また参加者の理解を助けるためにファシリテーターの一人である池田が適宜補足を行います。
講演自体は英語ですが、質疑応答は日本語可です。
【話題提供】
Dr. Jimmy Yen-Chu Lin, CEO of Insilico Medicine Taiwan
“Transforming Drug Discovery Through AI” (仮題)
WS.2. 化合物ライブラリーの協創:アカデミアと企業の構造DB連携を考える
Collaborative Creation of Compound Libraries: Considering the collaboration between academia and companies on structural databases
ファシリテーター
筑波大学医学医療系生命医科学域 広川 貴次
Division of Biomedical Science, Institute of Medicine, University of Tsukuba, Takatsugu Hirokawa
東京大学創薬機構 髙宮 万里
Drug Discovery Initiative, The University of Tokyo, Mari Takamiya
エーザイ株式会社 鈴木 秋一
Eisai, Co., Ltd, Shuichi Suzuki
対象者
- 企業、アカデミア、公的機関など所属は問いません
- 化合物ライブラリー活用の戦略について活発に議論していただける方
- 化合物ライブラリーや評価体制の共有化に興味がある方
参加要件アンケートへの回答をお願いいたします
定員24名程度、定員オーバーの場合は基本先着順とし調整いたします
内容
本ワークショップでは、昨年度に引き続き創薬スクリーニングにおける化合物ライブラリーの有効活用を「化合物ライブラリーの協創」と称して議論いたします。国内外ではすでにスクリーニング用化合物ライブラリーは非競合の領域との考え方も出ている一方、日本国内での共有ライブラリーの活用方法は、未だ分割されたそれぞれ組織やコンソーシアム内に留まり、国内リソースの十分な活用には至っておりません。「今後の有効活用を考える」をメインテーマとした昨年度のワークショップでは参加者間で以下のように合意いたしました。
「多様なニーズを持つ多様な団体が、できる限り多様な国内化合物ライブラリーの化合物情報データにアクセス可能になり、検索ヒットすれば速やかにその化合物サンプルを入手できる体制を実現したい。実化合物やデータの管理については課題があり、ある程度集約された化合物データベースや化合物倉庫と、それらを利用する団体を連携させ戦略的議論をリードする第三者機関の存在が重要であり、その設置を速やかに推し進める必要がある」
タンパク質・核酸の3次元構造をベースとしたスクリーニングの計算処理能力は各段に向上し、仮説の素早いウェット検証によるより良い創薬出発点となるヒット創出には化合物構造データを共有し幅広い機会創出が必須となっています。今年度は、化合物構造データ共有のニーズと国内の現状の情報を共有し、アカデミア間、企業間、さらにその双方の連携についてより深く議論する場とします。さらに相互連携を効果的にする枠組みの議論に進展できればと考えています。
今年度も企業、アカデミア、公的機関から幅広い専門性の方々にお集まりいただき、「化合物ライブラリーとその情報の有効活用」を近い将来に実現するため議論したいと思っています。
【話題提供】
筑波大学医学医療系 生命医科学域 ケミカルバイオロジー・IT創薬研究室 教授
広川 貴次
「共有化合物構造データベースを利用したインシリコスクリーニング」
内容
共有化合物構造データベースを利用したインシリコスクリーニングの実例を紹介しながら、化合物データベースの情報量と多様性の拡充によるメリットおよび今後に向けた課題について話題提供し議論のきっかけとしたい。
WS.3. スクリーニングカスケードの設定と戦略
Design of a screening cascade for desirable hits finding
ファシリテーター
理化学研究所 出井 晶子
RIKEN, Akiko Idei
東京大学大学院薬学系研究科附属創薬機構 今村 理世
Drug Discovery Initiative, The University of Tokyo, Riyo Imamura
大阪大学薬学研究科化合物ライブラリー・スクリーニングセンター 坂本 潤一
Compound Library Screening Center, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Osaka University, Junichi.Sakamoto
対象者
企業、アカデミア、公的機関などに所属されていて、スクリーニングに興味のある方(スクリーニング実施経験やスクリーニングカスケード構築経験は問いません)。
- スクリーニングカスケードの構築方法や考え方について、広く学びたい方
- タンパク質間相互作用(PPI)のヒット選抜や化合物の絞り込みカスケードに、疑問や不安を感じている方
- 目的にあったプロファイルを持つ化合物を取得するための「化合物の絞り込み」にこだわりたい方
- 魅力あるヒット化合物を選抜するためにどのようなアプローチが有効かについて議論したい方
定員30名(ただし、過去にこのWSへの参加経験のない方を優先します)
参加要件アンケートへの回答を必須とします
内容
HTSから創薬につなげていくためには、どのようなプロファイルの化合物を取得したいのかを明確にし、戦略的にスクリーニングカスケードを構築する必要があります。効率良く化合物を絞り込むために、どのようなアッセイ系をどの順序で組み合わせるかの設定が極めて重要です。本WSは、戦略的な化合物探索に向けて、各人が理解を深め、研究業務に活用いただくことを目的とした、議論中心のWSです。
本WSでは、参加者はグループに分かれて、架空の標的分子を題材に、目的とするプロファイルを有する阻害薬を探索するためのスクリーニングカスケードを構築・完成させます。今回は、昨年と同様にタンパク質間相互作用の阻害薬探索を取り上げ、1次スクリーニング系と2次スクリーニング系をどのように組み合わせるか、どのようなライブラリーを供するかなど、戦略的な化合物探索を行うためにスクリーニングカスケードをいかに設定するか、グループ内で議論します。
次いで、各グループが設定したスクリーニングカスケードを発表していただきます。最後に、最も理想的だと考えられるスクリーニングカスケードを投票により確定するとともに、それぞれのスクリーニング戦略の優れた点や改善点などの意見交換をしたいと思います。
議論にあたって、事前のアンケートから化合物の絞り込みで直面している問題点の抽出・共有化も行います。様々な立場の人が集まり、多様な視点から議論することで、理想とする化合物像を取得するための戦略を明確にし、その戦略に沿ったスクリーニングカスケードを設定することの重要性を感じ取っていただきたいと思っています。
※議論中心のWSとなるため、初心者・初級者の参加希望者は、事前にスクリーニングカスケードに関するチュートリアルを聴講してからWSへ参加されることをお勧めします。
※題材や進め方は、2023年に開催したWSに類似した内容となります。本WSへの参加が初めての方、昨年度に参加されていない方を優先しますが、2回目以降の方も類似内容であることをご了承の上、お申込みください。
WS.4. 細胞アッセイの自動化
Cell assay automation
ファシリテーター
中外医科学研究所 沼澤 香穂里
Chugai Research Institute for Medical Science, Inc., Kahori Numazawa
ジェノスタッフ株式会社 内田 実
GenoStaff Co., Ltd., Minoru Uchida
アステラス製薬株式会社 生田目 一寿
Astellas Pharma Inc., Ichiji Namatame
塩野義製薬株式会社 見月 俊吾
Shionogi & Co., Ltd. Shungo Mitsuki
対象者
現在、細胞実験及び細胞アッセイのための自動化システムや単独装置を利用している、あるいは今後自動化システムの導入や現有装置の再構築など予定されている方で、積極的に細胞自動化システムの構築に関して討議をしたい方
※グループ討議を予定する為、質問への回答、アンケートの提出、コメントなどお願いします。
参加人数30名程度 アカデミア、製薬、CRO研究者に限定させて頂きます。
申し込み超過の場合の調整方針について;定員に達した場合、予告なく締め切る場合があります。
内容
“細胞実験および細胞アッセイの自動化を行う事で何を目指しますか?“
自動化する事で何でもできるわけではなく、マニュアルが適している場合もあります。ロボットシステムが得意とすることを生かすのは、研究者です。今回のWS“細胞アッセイの自動化”では皆さんの経験を基に、細胞アッセイ自動化の目的やメリット・デメリット、関連する実験機器に関する話題などを中心として議論したいと考えています。
本WSでの議論が、皆さんの細胞アッセイ自動化に関する取り組みや実験機器選定の参考になれば幸いです。
※ 製薬企業で自動化導入検討と運用経験者の話題提供を予定しております。
話題提供
国内製薬からの話題提供を予定
WS.5. ラボオートメーション入門
Lab Automation for beginners
ファシリテーター
第一三共株式会社 村越 路子
DAIICHI SANKYO COMPANY, LIMITED. Michiko Murakoshi
一般社団法人スクリーニング学研究会 内田 実
Conference on Biomolecular Screening. Minoru Uchida
対象者
研究の自動化を考えている方、基礎から改めて学んでみようという方、多様なトラブルで悩んでいる方、実際に使用していて生じた疑問、課題を持たれている方など、初心者の方を対象としております。
※参加にあたりアンケートの提出を必須とします。
参加人数30名程度 アカデミア、製薬、CRO研究者に限定させて頂きます。
申し込み超過の場合の調整方針について:定員に達した場合、予告なく締め切る場合があります。
※メーカーの方の参加はご遠慮ください。
内容
創薬研究や各種実験における評価系には分注工程が必須となります。そのため、多くの種類の分注装置(以下リキットハンドラー)やリキットハンドラーが組み込まれた自動化システムが利用されています。評価系を自動化するにあたり、必須となるリキットハンドラーに関して基礎知識を得ていただくことを目的として分注原理や特性、知っていてほしいスキルなど下記のポイントを中心に、講義形式で行います。
- 分注精度の確認方法
- 導入のメリットデメリット
- プログラムの組み方
- 導入初心者に必要な心構え
- デッドボリュームの考え方と対応策
- ラボウエアの選択とその方法
- ピペッティングによる攪拌方法のスキル
- 細胞を扱う際の注意点
講師は、リキットハンドラーのメーカー2社を予定しております。
【話題提供】
担当講師
ベックマン・コールター株式会社 樫森 啓真様
テカンジャパン株式会社 下谷 真仁様
WS.6. Cell paintingから始める画像解析
Let's start Image Analysis with Cell Painting!
ファシリテーター
旭化成ファーマ株式会社 下田 嵩央
Asahi Kasei Pharma Corp., Takahisa Shimoda
塩野義製薬株式会社 谷村 美幾
Shionogi & Co., LTD. Miki Tanimura
東京女子医科大学 田邊 賢司
Tokyo Women's Medical University, Kenji Tanabe
対象者
- テーマに関連した技術についてオープンに議論できる方。
- Cell PaintingおよびCell Profilerの経験は不問です。
- HCSへの参入を検討されている方、ベンダー様も歓迎します。
参加要件アンケートへの回答をお願いします。
参加可能人数20~25人程度(先着順)
参加人数超過の場合、同一企業・機関からの参加者数に制限を設ける場合があります
内容
近年Cell Paintingなどのハイコンテントスクリーニング(HCS)を用いた手法が普及し、創薬分野におけるHCSの重要性はますます高まっている。HCSが他のスクリーニング手法と大きく異なるのは、その中心が“画像解析”という点にある。HCSでは細胞や組織の画像を取得し解析することで、より詳細で多角的なデータを得ることができる。しかしながら、「HCSでこそ得られる結果」を正しく取得するためには、画像解析に関する知識と経験が重要となる。具体的には、画像の品質管理や適切な蛍光試薬の選択、細胞の特定領域のセグメンテーション、そして大量のデータを効率的に処理・解析する手法などである。
本ワークショップではCell Paintingを具体例に挙げ、画像解析の基礎から少し応用的な手法まで幅広く事例紹介や議論を実施したい。事例紹介においてはフリーの画像解析ソフトやHCS機器に付属する画像解析ソフト、さらにはディープラーニングを活用した解析事例を紹介する。そしてHCSの画像解析において考慮すべき点や期待される進展について議論したい。
*なおCell Paintingに関する全般的な議論は前日のSIG(Special Interest Group)で行います。
WS.7. 創薬の課題を語ろう -フェノタイプスクリーニングの現在と未来-
Let's Discuss Challenges in Drug Discovery - Present and Future of Phenotypic Screening
ファシリテーター
武田薬品工業株式会社 近藤 滋
Takeda Pharmaceutical Company Limited, Shigeru Kondo
Axcelead Drug Discovery Partners株式会社 尾野 晃人
Axcelead Drug Discovery Partners, Inc., Akito Ono
中外製薬株式会社 妹尾 千明
Chugai Pharmaceutical Co., LTD., Chiaki Senoo
第一三共株式会社 砂村 直洋
Daiichi Sankyo Co., LTD., Naohiro Sunamura
対象者
Phenotypic Drug Discovery(PDD)の実施経験のある方、これから実施を考えている方。情報収集を目的としたベンダー様の参加は不可とします。
本WSにて他の参加者と下記のような点を共有し、ディスカッションを行いたい方
- これまでPDDを実施したなかで、そこで生じた問題・課題や悩みがある
- PDDで得られた経験を共有したい
- 今後PDDを行いたいが、それ対して様々なハードルを感じておりそれらを解消したい
- PDDに対しての将来展望や期待を持っている
参加要件アンケートへの回答
人数20~25名程度 先着順
ただし同一機関から複数申し込みがあった場合は機関にて調整をお願いすることがあります。
内容
【背景】
フェノタイプスクリーニングは創薬における重要な手法の一つとして注目されています。個々の遺伝子やタンパク質が複雑に相互作用して構成される生体機能を、標的分子ベースのスクリーニングとは異なる、フェノタイプを指標にしたアプローチで評価できる利点があります。適切な疾患モデルを使用することで、病態を再現し、新薬開発の成功率向上が期待されています。
過去のワークショップでは、iPS細胞・オルガノイドの利用、ターゲット同定など、特定のテーマを設定して議論を重ねてきました。
【目的】
今回のワークショップでは、フェノタイプスクリーニングに関する課題や期待、疑問点などを参加者から募り、活発な議論の場を提供することを目指します。参加者の日々の研究に直接的に役立つ議論ができるよう、テーマは参加者主導で決定します。
【実施内容】
- 事前アンケートを実施し、参加者からフェノタイプスクリーニングに関する話題を募集します。
- 当日は、数名の参加者から口頭またはスライドを使っての話題提供(ショートプレゼン)を行っていただきます。形式不問、完成された内容でなくても構いません。
- 話題提供に基づき、参加者による議論を行います。関心の高いテーマについて重点的に議論します。
- フェノタイプスクリーニングの各要素(疾患モデル、アッセイ系、解析手法、化合物選択、MoA解析など)に関する意見交換も行います。
今回は参加者主導のボトムアップ型のアプローチを試みます。率直な意見交換を通じて、フェノタイプスクリーニングの課題解決や今後の展開について深く掘り下げていきたいと思います。
WS.8. HT-ADMET
ファシリテーター
大塚製薬株式会社 依田 典朗
Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. Noriaki Yoda,
シオノギテクノアドバンスリサーチ株式会社 細田 美紀
Shionogi TechnoAdvance Research Co., Ltd. Miki Hosoda,
対象者
ADMET評価に従事している方やIT活用による分析・解析業務の効率化に課題意識や興味のある方。積極的に発言してくれる方大歓迎
参加可能人数30名程度
参加要件事前アンケートへの回答をお願いします。
内容
研究としての「In Vitro ADMETスクリーニング」(以下「HT-ADMET」と略する)の位置付けは、薬物動態分野及び毒性分野の技術・知見とスクリーニング分野が得意とするスピードアップやミニチュア化等の技術を融合し、創薬研究早期から中期段階におけるADMET評価の質と量を向上させる技術・戦略を追及することである。その研究の成果は、「スクリーニング学」と同じく新薬候補品の発見・創薬および創薬の期間短縮に貢献すると考えられる。
HT-ADMETでは多岐にわたる評価を実施しており、それら多くの試験で質量分析装置(LC-MS/MS)を用いている。これまでアッセイ技術に関する話題、や自動分注機を用いた自動化促進などを取り上げてきたが、今年は分析業務に着目し、分析における各社の工夫や、最新のIT活用事例の紹介などを通して、これからの業務効率化につなげてもらうきっかけになるような意見交換のできる場を提供したい。
また、HT-ADMETの各種試験系の構築や運用にあたっての悩みついてアンケート調査を行い、実務的な意見交換も行う予定である。
さらに、今年はトランスポーター試験に関する議論をSIGで行います。ご興味のある方は前日開催されるSIGからの参加をご検討ください。
WS.9. 物理化学測定は使えるのか?
Are physicochemical measurements practical?
ファシリテーター
第一三共株式会社 池野 雄高
Daiichi Sankyo Co., Ltd, Yutaka.Ikeno
大正製薬株式会社 中納 広一郎
Taisho Pharmaceutical Co., Ltd., Koichiro Nakano
東京大学 長門石 曉
The University of Tokyo, Satoru Nagatoishi
対象者
- 物理化学測定について、議論および意見交換をしたい方(主な技術:SPR, BLI, ITC, DSF, DSC, MS, MSTなど)。
- ご専門は問わず(HTS、メドケム、計算科学、薬理等の方も歓迎)、物理化学データを含めた創薬研究および開発に関わったことのある方。
- 参加者はチュートリアルレベル習得を前提とした議論、意見交換を行います。
- 研究会の前に物理化学測定のチュートリアルを開催いたしますので、初心者の方は必ず聴講の上ご参加をお願いいたします。
- 低分子創薬以外のモダリティに興味のある方も歓迎します。
参加要件事前アンケートの全ての質問事項にご回答いただくことを参加要件と致します。
内容
本WSでは物理化学的(Biophysical)な技術による相互作用解析を活用されている方から活用してみたい方まで、チュートリアルレベル以上の経験または知識があり、生産的な意見をお持ちの方の参加を希望いたします。物理化学測定を専門とされていなくても、前述のようなお立場の方を幅広く歓迎いたします。
物理化学測定とは、高感度に標的分子と化合物/リガンドの結合を評価可能であることから、バリデーションにおいては確立された手法という位置づけにあります。近年では測定手法も多様化し、より多面的な解析の重要性が求められています。モダリティ(抗体, 核酸、ペプチド、デグレーダー等)の観点からも、相互作用解析技術の選択、そこから得られたデータをどのように創薬へ活用していくか、そもそも物理化学測定は使えるのか、については非常に重要な観点になります。一方で、その標的分子の多様化に伴い、得られてくる相互作用データにも多様性が見られ、難易度も高まりつつあります。このような背景を含めた活用事例を共有し合うために、小人数グループでの議論や、活発な意見交換を行うWSを企画しております。
WS.10. 「膜タンパク質生産」~ 今年は膜の話をしよう ~
Protein Preparation: Design and Expression of Membrane Protein
ファシリテーター
愛媛大学 プロテオサイエンスセンター 竹田 浩之
Proteo-Science Center, Ehime University, Hiroyuki Takeda
杏林製薬株式会社 小祝 孝太郎
KYORIN Pharmaceutical Co., Ltd., Kotaro Koiwai
東京大学 創薬機構 長谷川 司
Drug Discovery Initiative, The University of Tokyo, Tsukasa Hasegawa
対象者
- 膜タンパク質の発現や膜タンパクを使ったアッセイ系構築をこれから始める方,試験材料として用いる膜タンパク質について基礎から改めて学んでみようという方、実際に膜タンパク質を発現・使用していて実験上の悩み、疑問を持たれている方
- タンパク質発現の経験者、実務に携わっておられる方で、タンパク質発現の技術や知識をさらに高めたい方、後進に技術を伝えたいとお考えの方。
- タンパク質発現の初学者の方も歓迎します。積極的に議論に参加してくださることを期待します。
- ベンダー様も参加可能ですが、広告、営業活動はお控えください。
参加人数上限30名 先着順。ただし同一機関から複数の申し込みがあった場合は機関にて調整します。
参加要件アンケートへの回答をお願いします。(積極的な自由記載回答をお待ちしております)
内容
GPCRやイオンチャネルに代表される複数回膜貫通ヘリックスを持つ膜タンパク質は重要な創薬標的であり、市販の医薬品の過半数が膜タンパク質に作用することが知られています。セルフリーでの薬剤探索アッセイ系構築や、ヒットバリデーションにおける物理化学的解析、抗体作製、構造解析など、創薬研究の様々なステップにおいて、組換え膜タンパク質は欠かすことのできない試験材料です。一方で複雑な構造を持つ膜タンパク質の生産はしばしば困難を伴い、万能な生産手法はありません。今年のタンパク質発現ワークショップは膜タンパク質に話題を絞り、各々の使用目的に適した発現手法やタンパク質の設計、研究ツールの活用について参加者間で経験や情報の共有・議論することを目的とします。また、参加者事前アンケートの結果に基づいて、参加者が現在抱えている問題点の解決策についても議論しましょう。
WS.11. アッセイ系構築 基礎
Assay Development Basic
ファシリテーター
シオノギテクノアドバンスリサーチ株式会社 西垣 敦子
Shionogi TechnoAdvance Research Co., Ltd. Atsuko Nishigaki
アステラス製薬株式会社 和田 玲子
Astellas Pharma Inc. Reiko Wada
対象者
- アッセイ系構築の基礎を学びたい方
- in vitro評価系構築において課題を感じている方
※実際に手を動かされていない方も大歓迎です。
定員40人程度
内容
近年、創薬の世界では低分子だけでなくモダリティも多様化し、従来の方法にとらわれず新たなアプローチが求められています。それに伴い、薬理評価だけにとどまらず、スクリーニングのためのin vitroアッセイ系も進化し続けており、その構築において日々様々な課題を感じておられると思います。
本ワークショップでは、みなさんのアッセイ系構築に関する課題を共有し、解決策に関する参加者同士の議論を通じてin vitroアッセイ系構築の基礎的な理解を深めることを目的とします。同じような課題を抱える他社や研究機関の方と交流し、ご自身の業務に役立つ知識を学び、一緒に創薬の未来を切り拓いていきましょう。
アンケート結果をもとに討議内容を決定する予定にしており、参加者の皆様にはワークショップ事前に討議内容をお知らせいたします。
なお、11月上旬にオンラインチュートリアル「アッセイ系構築」を配信いたしますので、アッセイ系構築初心者の方はワークショップを受講される前にぜひご覧いただき、基礎を学習していただけますと幸いです。アドバンスド編として年会前日にSIG (Special Interest Group) も開催予定ですので、上級者の方は合わせてご検討ください。
WS.12. 天然物創薬の未来
The Future of Natural Product Drug Discovery
ファシリテーター
第一三共株式会社 村松 康範
Daiichi-Sankyo Co., Ltd., Yasunori Muramatsu
エーザイ株式会社 勝俣 良祐
Eisai, Co., Ltd, Ryosuke Katsumata
日本医療研究開発機構 新井 好史
AMED, Koshi Arai
対象者
- 天然物素材を活用している方
- 天然物スクリーニングに関わっている方
- 経験はないが天然物素材スクリーニングに興味のある方
- 天然物創薬の将来を本気で考えている方(必須)
参加人数最大20名程度(先着順)
内容
創薬の歴史において、天然物は生理活性を示すために自然淘汰の中で最適化された化学構造を有し、創薬の出発点として重宝されてきた。一時はやりつくされたというイメージを持たれていたが、近年においては、ゲノム技術の発展や新規テクノロジーとの融合により、未利用生物の開拓、スクリーニングソースの拡充が可能となった。これによって新たな生理活性天然物が発見されており、天然物の創薬シーズとしてのポテンシャルの高さが再注目されつつある。
昨年度のWSでは、「ポストCOVID-19時代に天然物創薬はどのように進展させるべきか」と題し、感染症における天然物創薬をトピックに、これからの天然物創薬が進むべき道を探った。感染症領域における天然物は、生物(病原体)対生物(天然物産生微生物)という理にかなった創薬ソースである一方、COVID-19においては、これまで経験したことがないスピード感での創薬に対応しきれなかったという課題も挙がり、「ライブラリー」、「スクリーニング」の面から具体的なアイデアを出しあった。
今回のスクリーニング学研究会では全体講演において、東京農工大蓮見教授から天然物を出発点とした創薬研究の成功例を紹介いただく予定である。詳細について拝聴できる貴重な機会であるため、本会では語り切れなかった話や議論を深堀する場とすべく本WSにご参加いただく運びとなった。参加者の皆様とのディスカッションから見えてくる各様の視点・感性を共有することにより、天然物創薬の明るい未来を描く機会としたい。
話題提供
東京農工大学 蓮見 惠司 教授
全体講演での発表を振り返り、語り切れなかった話題や議論の時間を補完する機会を設ける。