2024/8/20 スクリーニング学研究会 事務局
 

開催趣旨

創薬研究を成功させるために重要なカギの一つは、スクリーニング評価系や物理化学的解析、構造解析などに用いる組み換えタンパク質の入手です。しかし、個々のタンパク質はそれぞれ異なった性状を持ち、活性を持ったタンパク質を大量に得るためには生化学やタンパク質工学の知識や経験が必要です。本チュートリアルでは、高い発現効率を持つタンパク質生産技術の一つである、コムギ無細胞タンパク質合成技術を紹介します。高い翻訳効率と再現性を持つコムギ無細胞系はスクリーニングのためのタンパク質試料調製に適しており、セルフリーアッセイやアフィニティセレクションで多くの実績があります。

本チュートリアルは、スクリーニング学研究会のチュートリアルでは初めて2日に分けて開催し、講義と実習を通して無細胞合成の基礎と応用をレクチャーします。講義では無細胞合成技術の原理や創薬研究への応用例について講習します。実習では3種類のタンパク質を合成し、蛍光観察やタンパク質間相互作用アッセイで合成されたタンパク質を観察します。

本チュートリアルを実りあるものにするため、参加者の皆様には事前にアンケートを実施します。頂いた疑問は講師の皆様にお伝えし、該当する講演内容に反映させていただきます。参加登録時にアンケートのフォームへの回答をお願いします。アンケート集計の都合上、 9月6日を登録、回答の締切日と致します。

なお、本チュートリアルは講義と実習を伴うため、2日両日とも出席できる方に参加を限らせていただきます。

【重要】登録頂きました氏名・所属は取りまとめ後、参加者リストとしてチュートリアル講師に提供いたします。なお連絡先情報は研究会運営のため研究会事務局にて管理し、事務局からの連絡、スクリーニング学研究会主催・共催のセミナー等の案内に利用致します。事前の承諾なく個人情報を第三者に提供することはありません。
 

世話人

愛媛大学プロテオサイエンスセンター    竹田 浩之

東京大学大学院薬学系研究科附属創薬機構  長谷川 司

 

テーマ

「スクリーニングのための無細胞タンパク質合成」

主催

スクリーニング学研究会

共催

愛媛大学プロテオサイエンスセンター、東京大学大学院薬学系研究科附属創薬機構

後援

AMED BINDS

協力

(株)セルフリーサイエンス、 (株) レビティジャパン

期日

9月18日(水)~9月19日(木)  (18日夕に懇親会開催)

場所

東大創薬機構の会議室(408)及び実験室(033)

参加費

チュートリアルの参加費は無料。懇親会費、2日目のお弁当も無料とさせていただきます。

参加資格

製薬及びバイオ系企業、アカデミアなどで研究部門に所属されている研究者限定といたします。ベンダー様のご参加はご遠慮ください。2日両日とも出席できる方に参加を限らせていただきます。

※1機関で複数の方々から申込みがある場合調整させて頂くことがあります。

参加可能人数

20名

参加登録方法と
アンケート送付
、連絡先

リンク先にアクセスし必要事項をご記入の上お申込みください。
申込フォーム    (募集は締め切りました)
リンク先にアクセスできない方は、氏名、所属、連絡先(E-mail アドレス)を明記の上、スクリーニング学研究会事務局にご連絡ください。折り返しアンケート用紙を配布します。
スクリーニング学研究会事務局(

プログラム 1日目(9/18)
12:30 受付開始.
集合場所:東京大学薬学部本館西4F,408会議室
13:00~13:15 開会挨拶,世話人紹介,チュートリアル概説
13:15~14:00 講習:無細胞タンパク質合成の基礎講座(408会議室)
14:00~17:30 実習:転写反応,翻訳反応.(B1F,033実験室、休憩有)
17:30~18:00 事例紹介:コムギ無細胞タンパク質合成系を利用したPPI阻害剤スクリーニング
講師:東大医(病院)小谷紘史先生 (408会議室)
18:00~19:00 懇親会 (W5会議室)

2日目(9/19)
8:45 集合(408会議室)
9:00~12:30 実習:合成タンパク質の回収,蛍光タンパク質による合成確認,
mRNAの確認, AlphaScreen反応(033実験室)
12:30~13:30 昼食:お弁当を提供します.(408会議室)
13:30~14:00 実習:AlphaScreen測定, 結果解析(033実験室)
14:00~15:00 ディスカッション,応用例紹介,質疑応答(408会議室)
15:00~15:10 閉会挨拶
15:10~ 追加質疑応答
内容
  1. コムギ無細胞タンパク質合成の基礎講座

    講師:愛媛大・プロテオサイエンスセンター・竹田浩之先生

    講習:コムギ無細胞タンパク質合成系の原理
    コムギ無細胞タンパク質合成系は、コムギ胚芽から抽出した真核細胞系翻訳機構を用いて試験管内でタンパク質翻訳を再構成する技術です。コムギ無細胞系は高い合成効率と再現性が特徴で、標的タンパク質のアミノ酸配列やサイズ、鋳型遺伝子のコドン利用頻度などによらず様々なタンパク質の翻訳が可能です。これまでにヒトを始めとする哺乳動物、植物、バクテリア、原虫、ウイルスなどの数万種類に及ぶタンパク質の合成実績があります。本講義では、実習に必要な予備知識として無細胞タンパク質合成の原理をレクチャーします。また、愛媛大学プロテオサイエンスセンターでこれまでに取り組んだタンパク質合成例や、薬剤探索、無細胞合成プロテインアレイ、プロテインアレイを用いたターゲットバリデーションなどの実例も紹介します。

  2. 無細胞タンパク質合成および無細胞合成タンパク質を用いたアッセイ実習

    講師:愛媛大・プロテオサイエンスセンター・竹田浩之先生

    コムギ無細胞合成系はキット化されており、試薬を混ぜるだけで誰でも短期間にタンパク質を調製することができます。本実習では3種類のタンパク質を合成します。

    • Venus蛍光タンパク質を合成し、蛍光観察で翻訳の成否を確認します。
    • よく知られた相互作用タンパク質であるMDM2とp53を無細胞合成します。両者の相互作用をAlphaScreenで観察し、機能的なタンパク質が合成できていることを確認します。翻訳時にビオチン化酵素を用いてタンパク質をビオチン化する方法についてもレクチャーします。
  3. 事例紹介

    コムギ無細胞タンパク質合成系を利用したPPI阻害剤スクリーニング

    講師:東京大学医学部附属病院皮膚科・小谷紘史先生

    全身性強皮症(SSc)は、皮膚および内臓諸臓器を系統的に侵す自己免疫疾患であり、B細胞を中心とした免疫異常が病態形成に重要である。CD19の発現増強が、SScにおけるB細胞機能異常の主な原因である。CD19の発現にはCD81との結合が不可欠であることに着目し、CD19-CD81結合を阻害する低分子化合物のスクリーニングに着手した。分割した蛍光タンパク質(mKG2)フラグメントをCD19, CD81にそれぞれ融合させたキメラタンパク質をコムギ無細胞系で合成し、in vitroで相互作用を可視化させるスクリーニング系を構築した。