発表者

西 洋平 京都大学 iPS細胞研究所

タイトル

疾患iPS細胞を用いたPhenotypic screening -その技術的基盤と実例-

要旨

 製薬会社の創薬開発において、その費用が増加する一方、その成功確率が低下している。その原因の一つとしてTarget-based drug discovery (DD)への過度の傾倒であると報告されている。一方古くから日本の企業が実施してきたPhenotype-based drug discoveryは近年の大村智先生のノーベル賞受賞のように多くの成功があり、また日本が得意としてきた手法である。近年Target-based DDではなく、このPhenotype-based DDを用いた手法でfirst-in-classのHit化合物を見出そうという動きが欧米の製薬会社を中心に進んでいる。

    我々CiRAではこのPhenotype-based DD手法にiPS細胞、特に疾患iPS細胞を用いた技術を融合することにより、従来にない新たなDrug discoveryの手法を開発し提案しようと研究している。その方法としては、基本的にはHigh throughput screening (HTS)の手法を踏襲するが、使用するMaterialが細胞  特に疾患iPS細胞から分化させた細胞を用いてスクリーニングを実施するために、これまでと異なる機器やKnow-howが必要である。

    本ポスターでは、疾患iPSを用いた創薬を実施するにあたり、どのような戦略・戦術がよいのか、また実際のスクリーニングでは、どのような機器・技術が必要なのか、我々の創薬プラットホームを提示するとともに、稀少疾患であるポンペ病を対象にしたPhenotypic screeningの例を示して議論したいと思う。