発表者
宮久 郁夫 武田薬品工業株式会社 医薬研究本部 生物分子研究所
タイトル
定量的にチオール反応性を測定するハイスループットなエンドポイント蛍光競合アッセイ系の構築
要旨
ハイスループットスクリーニングにおいて、チオールへの反応性を有する化合物は偽陽性や非選択的な作用に繋がるため、一次ヒットからなるべく早期に除外する必要がある。一般的に、化合物のチオールに対する反応速度はHPLC等を用いたチオール-化合物複合体量の経時的な測定により算出されるが、この手法は長い測定時間と煩雑な操作を要する。この問題を解決するために、我々は遊離チオールに対する被験化合物と蛍光プローブの競合反応に基づいた、蛍光エンドポイントアッセイを開発した。本アッセイは被験化合物のチオールへの反応速度を高スループットかつ低コストに算出可能なため、ヒット化合物の二次評価として広く利用できる。また我々の評価法は高い定量性を有することから、共有結合性阻害薬の反応性評価に適応することで、低反応性で安全な共有結合性阻害薬のドラッグデザインにも貢献できると考えられる。