我々は低分子の物理化学測定をどのように扱っていくべきか?
長門石 曉 (東京大学)
島田 多堅 (第一三共RDノバーレ(株))
標的分子に作用する低分子化合物を見つけ出すために、膨大な数の低分子化合物ライブラリーを用いたスクリーニング(いわゆるHTS)や、小規模だが結合親和性の低いフラグメントライブラリーによるスクリーニング(いわゆるFBDD)から、如何にしてリード・シードとなり得るヒット化合物を選抜するか。特異的結合を示す低分子化合物の探索において、この課題は創薬において常に重大な論点となっており、王道があるわけではないのでは、という見方さえある。その中で「物理化学的パラメータを指標としたヒットバリデーション、特異性評価」は、標的分子に対する低分子化合物の“質”を判断する有効な手法として活用の場は広がってきている。しかし、そもそもなぜ物理化学的性質を指標とするのか。どのようなデータ・パラメータを基準に評価したらよいのか。分子間相互作用における特異的結合と物理化学的解析を結ぶ本質的な議論は、未だ確立されたものではない。さらに、定量的な議論を可能とする物理化学的評価系の構築には、各種測定装置に依存した注意するべきポイントも多くある。
このような背景の中、我々は低分子化合物の物理化学測定をどのように扱っていくべきか?参加者の皆様とクリエイティヴな議論を行いたい。