TR-FRET法その原理と応用、アッセイ系構築のコツと留意点

セティ・メディカルラボ、徳田千賀志

Time-resolved fluorescence resonance energy transfer(TR-FRET)法は、時間分解蛍光測定(TRF)と蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を組み合わせた、生体分子間の相互作用解析お よび検出技術であり、High Throughput Screening (HTS) に幅広く応用されている。
HTSにおいて、蛍光測定法を利用する際の問題点は、被検物質由来のフィルター効果、クエンチング効果、自家蛍光等に起因する偽陽性、偽陰性結果であり、これらの要因で引き起こされる信頼性低下への対策が、時間分解蛍光測定(TRF)である。 
加えて、HTSには高い処理能力が求められることから、洗浄・分離操作の不要なホモジニアスアッセイが必須である。そこで前述のTRFと、ホモジニアスアッセイを実現する蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を組み合わせた技術がTR-FRET法である。

  本チュートリアルでは、TR-FRET法の代表的な技法のひとつであるHomogeneous time resolved fluorescence (HTRF)を例に、その原理と特性を解説すると共に、HTSへの応用例(GPCR、各種酵素活性測定、レセプター・リガンド結合、高次構造変化等)を紹 介する。さらに、HTRF法を用いてアッセイ系を構築する上でのコツと留意点を、演者の経験に基づき、具体例を示しながら解説したい。

以上