【WS2 まとめ】 化合物管理 ~外部委託と内製の理想的なバランス~
内容:
DMSO溶液管理の外部委託と内製のメリットデメリット、およびリモートワークと化合物管理の2題を取り上げ、課題や問題点、改善策等を議論した。参加者は全30名であり、前後者についてそれぞれ事例紹介を共有したうえで、7~8名のルーム毎に議論した。以下、頂いた意見を中心に列記した。
DMSO溶液管理の外部委託と内製のメリットとデメリット
- 外部委託は、内製と保管容器が異なる場合に移し替え作業が発生し、多大なタスクと機材調達が必要になった。
- 内製は、管理規模に依らず倉庫や分注機導入維持費が固定費になるが、外部委託すると依頼数に応じた変動費になるため、リソース(投資先)が移動しやすかった。
- 外部委託は内製に比べて納期が長く、再アッセイなどへの急な対応が困難。また、分注レイアウトによっては、納期を維持してもコストが高くなる場合があった。一方で、計画的かつ柔軟な受発注体制により解決可能な点もあった。
- 化合物分注したマザープレート調製を委託した。入手後に化合物のレイアウトを自社で自由にデザインできただけでなく、実験の都度委託先に発注する必要がなくなった。
- 外部委託により短期的な効率化は達成できるものの、間に入って詳細調整可能な人財が将来的に不足することが明らかであり、潜在的課題と考えられた。
- 目的と求める成果をあらかじめきちんと設定することが重要と考えられた。
- 多数の分注プロトコルの存在とその管理が課題であり、プレートレイアウトの標準化が重要なポイントと考えられた。
- CRO側はプレートレイアウトについて顧客の希望に添える状況ではあるが、作業ミスや業務のスピードアップ等を考慮すると標準化が好ましいとの意見だった。
リモートワークと化合物管理~理想と現実
- 化合物サンプルを直接扱う人や、受託業務のために出勤せざるを得ない人にとっては、外出制限や緊急事態宣言中であってもリモートワークは困難だった。一方で、出社曜日を絞る、研究・生産部門では出社率を高くする代わりに他部門で出社率を下げて、全社的にバランスを取った拠点もあった。また業務標準化のためマニュアルを充実させるといった対応策をとったところもあった。
- 関東や関西圏に研究所がない場合は、特に業務のリモート化は必要なかった。
- CROはリモートでの業務対応はできない状況だが、顧客からの依頼内容の確認程度はリモートでできる仕組みに改善される方向にあるとのこと。
- 「リモートワーク推進」という勤務先の方針に沿って、リモートワークPCと出勤者のPCをオンライン会議で接続して機器の状態を共有した。また、機器ベンダー等のサポート担当がオンライン会議を利用してリモートでメインテナンス作業を行った。さらに、化合物の出庫依頼をリモートワークPCから勤務先の化合物管理システムに投入した。
- 入出庫データの授受や化合物倉庫等の機器モニタリング、保守対応、化合物情報DBアクセス等、リモートワークが可能な部分は積極的に取り入れているサイトが多かった。
- 情報のみに頼って業務を進めた結果、DB情報と実体データの乖離が発生した。
今後のWSについて
次回以降の議論候補について事前アンケートから複数の意見が寄せられた。次年度以降本WSにて継続して議論していく。