発表者

森 雅矢 東京薬科大学 生命科学部

タイトル

新規GSTP1選択的活性検出蛍光プローブによる生細胞イメージング

要旨

【背景・目的】
薬物代謝酵素の一種であるグルタチオン S-転移酵素(GST)は、活性代謝産物などの求電子性分子に対してグルタチオン抱合反応を触媒する。数あるGST分子種のうち、GSTP1は様々ながん細胞で過剰発現していることから、GSTP1活性を選択的に捉えることができれば、微小がんの検出に応用できると考えられた。そこで、GSTP1選択的活性検出蛍光プローブを開発した。 

【結果】
新たに開発したPs-TAcは、細胞内GSTP1活性を選択的に捉えることのできる蛍光プローブである。共培養した線維肉腫HT1080細胞とヒト皮膚線維芽細胞NHDFに対し、Ps-TAcを負荷すると、HT1080細胞でのみ強い蛍光を確認できた。また、Ps-TAcを用いることにより、エピジェネティクスな制御によりGSTP1発現が抑制されているMCF7細胞からは蛍光がほとんど検出されないが、DNAメチル化阻害剤である5’-デオキシアザシチジンを処理し、GSTP1を発現誘導した結果、その過程を可視化することができた。以上の結果から、Ps-TAcの有用性が示された。