患者由来がん培養細胞塊を用いた抗がん剤の評価

講師

福島県立医科大学 医療-産業トランスレーショナルリサーチセンター
高木 基樹

要旨

福島医薬品関連産業支援拠点化事業では、患者のがん組織の状態を反映した抗がん剤評価モデルの開発を行っており、長期培養が可能ながん組織由来培養細胞塊 (Fukushima patient-derived tumor organoid, F-PDO)の作製を進めている。作製したF-PDOは、網羅的遺伝子発現解析により元のがん組織の遺伝子発現プロファイルと高い類似性を示すことを確認している。現在までに作製した80系統以上のF-PDOの特性解析を行い、ハイスループットアッセイ系を構築した。不均一な細胞塊を形成するF-PDOを96-wellや384-well plateへ正確かつ均等に播種するシステムを開発し、代表的な抗がん剤の薬効評価を行った。その結果、F-PDOに対する抗がん剤の効果はがん患者における薬効と類似していることを確認した。本講演では、F-PDOの特性解析、ハイスループットアッセイ系の構築、抗がん剤の薬効評価について紹介する。また、アッセイ過程におけるEchoの活用事例についても紹介する。