ファシリテーター

關野 祐子(東京大学大学院薬学系研究科)
太田 章 (京都大学iPS細胞研究所) 

対象者

iPS細胞を創薬に利用を志している研究者。利用した経験を相互に共有したい方、これからiPS細胞を利用したい方、など

内容

新たに開発されたiPS細胞から分化誘導した脳血液関門について、ICHで規格化されている心毒性の評価系について、難病についての治療薬開発について発表をいただく予定です。

創薬におけるiPS細胞利用の進捗状況について紹介し、参加者が感じている課題を相互に紹介していただく予定にしています。

参加者からの活発な発言を期待しています。

話題提供

心毒性の評価に関する国際標準化の現状

東京大学大学院薬学系研究科 薬品作用学教室 特任教授 關野祐子 

医薬品の承認申請に係る安全性薬理試験においては、ヒト心電図のQT延長リスクを非臨床試験と臨床試験で評価することが求められている(ICH-S7B/E14ガイドライン)。講演者は国プロジェクトの研究代表者として、平成20年から28年度にかけて、「ヒトiPS細胞由来心筋細胞が催不整脈リスク予測に利用可能であるか」、また「これまでのQT延長リスクを予測する試験法と比して有用であるか」について、試験法の開発と検証実験を行ってきた。この体験から、ヒトiPS細胞由来の分化細胞を使った試験法の国際情勢についてお話する。

iPS細胞を利活用したスクリーニングから医師主導治験へ

京都大学 iPS細胞研究所 創薬技術開発室 特命教授 太田 章

2017年9月7日から開始されたFOPに対する治療薬の医師主導治験では、iPS細胞を利活用し化合物ライブラリーから選抜した化合物である(J Clin Invest. 2017 Sep 1;127(9):3339-3352)。医師主導治験までたどり着けた要因を、スクリーニングに関わった経験から考察する。

ヒト多能性幹細胞を用いた均質な神経細胞の作出

慶應義塾大学 医学部 生理学教室 特任助教 石川 充

 ES/iPS細胞を用いた神経系の病態解析・創薬研究は魅力的なアプローチである。一方で、神経系分化細胞のHeterogeneityは克服すべき課題のひとつであり、その完全な解決策は出ていない。今回、慶應義塾大学(医)生理学・岡野栄之研究室にて行っている、現状で最も均質な神経細胞の分化誘導法(Neurogenin2法)のひとつを紹介する。興奮・抑制性神経を個別作出する精神疾患解析への応用例についても議論したい。